心や脳に障害を有する精神疾患の患者が近年増加している.そこで,人々が植物精油を使用する芳香植物療法を未病の段階で効果的に利用することができれば,精神疾患の患者数を減らすことも十分可能と考える.しかし最近では,芳香植物療法の使用基準が明確ではないために,過度な香りによって体調を悪化させるといった例も数多く報告されてきている.早急な芳香植物療法の科学的な使用基準の作成が必要である.今回,芳香植物療法の使用基準作成のための科学的な基礎データの取得を目的として研究を行った.その結果,植物精油を吸入することで,揮発成分が容易に脳内へ移行し,それによって情動に影響を及ぼしていることが明らかとなった.
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