研究課題/領域番号 |
26350874
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
川口 英夫 東洋大学, 生命科学部, 教授 (50416921)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | メンタルヘルス / 予兆把握 / 筆跡 / コホート調査 / 内田クレペリン検査 / デジタルペン / クラスタリング |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、内田クレペリン検査における筆跡の時間情報を用いた指標(特徴量)を用いて、定量的なメンタルヘルス不調の予兆把握ができる手段を確立することである。今年度はコホート調査(追跡調査)の4年目の調査を4月に実施した。4年間通しての参加者は151名であった。具体的な調査項目は昨年度と同様である。 内田クレペリン検査で取得した数字の筆跡データを解析し、筆跡情報を用いた指標を基にメンタルヘルス不調のハイリスク群(10人)とローリスク群(141人)の2群に分けた。この2群間において、GHQ30質問票の不安と気分変調尺度のスコアが有意に異なった(p = 0.07)。また、初年度にハイリスク群に入った人がその後3回の調査でもハイリスク群に入る確率はオッズ比で93.3と極めて高い値となった。さらに、4年間の休学・退学率の違いを見ると、ハイリスク群はローリスク群に比してオッズ比で5.9倍と高かった。これらの結果から、指標はメンタルヘルス不調の予測力を持つことが示唆された。 さらに、指標のハイリスク群とローリスク群の閾値に関する客観性を検討するため、クラスタリングの手法をもちいて機械的に2群に分け、従来の閾値との整合性を検討した。その結果、クラスタリングを用いて算出した閾値と従来の閾値がおおむね一致することが分かり、その客観性が担保できた。 以上の研究成果を纏めて、10月に米国Chicagoで開催された北米神経科学会(Society for Neuroscience:SfN)の年会でポスター発表し、さらに米国Indiana大学で実施されたIndiana大学・東洋大学シンポジウムで口頭発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の採択時に提出した交付申請書に記載している『平成27年度の研究実施計画』に照らし、今年度に予定した調査や解析についておおむね実施した。コホート調査の面でも、本研究の目的である『筆跡情報を用いてメンタルヘルス不調の予兆把握ができることを検証する』こともほぼ達成した。また、10月に米国Chicagoで開催された国際学会(北米神経科学会:Society for Neuroscience)やIndiana大学で発表した際の研究者との議論を通して、研究の方向性がおかしくないことを確認した。以上より、現在までの達成度は、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はコホート調査(追跡調査)であるため、本研究の採択時に提出した交付申請書に記載した『平成28年度の研究実施計画』に沿って、4年間の追跡調査で得たデータについて、全体を見渡した解析を実施する。例えば、筆跡情報の動的な変化に着目した新規な解析を実施して新しい展開を目指す。さらに、『メンタルヘルス不調の影響を受ける脳内過程』と『メンタルヘルス不調の影響を受けない脳内過程』についても、その比較方法の検討を進める。また、平成28年度も国際学会で成果を発表し、研究者との議論を通して外部評価を受け、今後の研究方針を検討する予定である。
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