研究課題
保健医療福祉職はストレスが強い職業の一つに挙げられ,他の業界との比較においても仕事量の負担度や役割葛藤などのストレスが高く,最も抑うつ度が高いと報告している。また、睡眠障害は心身の健康や不安感といった情動的感情(気分)に影響を及ぼし,またその睡眠障害には自律神経活動が影響している可能性がこれまでの研究で示唆されている。しかし,気分と自律神経活動を関連させた研究は少なく,そのメカニズムについての詳細は不明である。さらにストレスと心身のホメオスタシスを継時的に関連付けた研究は少ない。本研究では下記の2点に着目し、実施した。1.若年者における睡眠と気分との関連将来医療従事者となる可能性のある学生を対象として睡眠時・起床後の自律神経活動と睡眠前後での気分の変化との関連を調査した。睡眠時の自律神経活動には緊張,混乱と関連し,起床後の自律神経活動には抑うつ,活気が関連していた。よって,睡眠時・起床後の自律神経活動は気分と関連している可能性が示唆された。2.抑うつ,不安,u-8-OHdGおよびu-5-HTに及ぼすOSCEの影響ストレス適応障害,うつ病,慢性疲労症候群など,心理的ストレスに起因する疾病が社会問題化しているが,発症に至る機序はまだ完全に解明されていない。本研究では,OSCEを心理的ストレスとし,その準備期間における自覚的ストレス(SDS,STAI)やストレス関連バイオマーカー(u-8-OHdG,u-5-HT)の経時的な変化を捉え,関連性を検討した。u-8-OHdG,u-5-HTは,OSCEによる自覚的ストレスの上昇に対して遅れて上昇し,1週間後も低下しない傾向がみられた。よって,心理的ストレスが取り除かれても,上昇したバイオマーカーの濃度を下げることで,心身のホメオスタシスを維持できる可能性が推測された。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件)
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