多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、排卵障害を来す主要な不妊原因である。PCOS女性では、月経異常や性ホルモン分泌異常に加えて、うつや不安、自尊感情の低下など深刻な心理症状も高い頻度で発症することが報告されている。本研究では、多彩な臨床症状を呈するPCOSを、心身相関の指標となる自律神経活動を基軸とした多因子性病態モデルとしてとらえ、心理・神経・内分泌要因の相互関係を探求することにより、そのメカニズムを探究することを試みた。また、次世代の生産と育成を担う性成熟期女性を対象に、月経周期に伴う心身不調と自律神経活動動態を測定し、月経周期の規則性・不規則性がもたらす健康障害についても検討を加えた。
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