研究課題
高脂肪食負荷糖尿病モデル、アンジオテンシンII投与高血圧モデル、心筋梗塞後心不全モデルを作成し、運動能力が低下し、骨格筋不全を呈するかどうかを検討した。いずれのモデルにおいても小動物用トレッドミルで評価した運動能力は低下した。また、下肢骨格筋を摘出し、ミトコンドリア呼吸能、TCAサイクル酵素活性、骨格筋線維型、骨格筋細胞断面積、タンパクユビキチン化およびアポトーシスを評価した。いずれのモデルにおいても、骨格筋ミトコンドリア機能障害、骨格筋線維型変移が起こった。アンジオテンシンII投与モデルにおいては、骨格筋萎縮も観察された。さらに、これらの骨格筋不全モデルの骨格筋において、mitoNEETタンパク発現の減少とともに、ミトコンドリア鉄容量が増加し、酸化ストレス産生が増加した。一方、これまでミトコンドリアへの鉄流入や流出に関わっていることが知られているタンパク発現に変化がなかった。次に、骨格筋培養細胞C2C12を用いた研究を行った。C2C12筋芽細胞を5日間培養し、筋管細胞まで分化させた。アンジオテンシンIIおよび過酸化水素を培養細胞に添加した。これらの処置によって、細胞傷害モデル骨格筋細胞を作成したところ、ミトコンドリア機能が障害された。また、mitoNEETタンパク発現が減少した。これらの培養細胞を用いた研究によって、骨格筋不全モデル動物と同等の結果が観察された。現在、mitoNEET SiRNAを用いて骨格筋培養細胞のmitoNEETのノックダウンを行い、ミトコンドリア機能、鉄代謝および酸化ストレス評価を行っている。今後、mitoNEET欠損マウスにおいて骨格筋不全を呈するかどうか、上記の骨格筋不全モデルをmitoNEET欠損マウスに作成することによって骨格筋不全が悪化するかどうかを検討する予定である。
2: おおむね順調に進展している
交付申請書の平成26年度の研究実施計画に記載した複数のin vivoでの骨格筋不全モデルの作成からmitoNEETタンパク発現、ミトコンドリア鉄容量、酸化ストレス産生などの評価が終了し、概ね我々の研究仮説に合致する結果を得ることができた。さらに、in vitroでの骨格筋培養細胞を用いた骨格筋細胞障害モデルを確立し、in vivoで観察された結果と同等の結果を得ることができた。予定通り、ノックダウンシステムによる研究を推進中である。
平成26年度の研究計画は変更なく、仮説通りの結果が得られた。平成27年度から28年度にかけては、Cre-loxPシステムを用いたmitoNEET欠損マウスによる運動能力、骨格筋ミトコンドリア機能、骨格筋形態、酸化ストレスや鉄代謝の検討を行う予定である。現時点では、計画を変更すべき問題はなく、研究を遂行する上での明確な課題は見当たらない。当初の予定通り、研究を推進する。
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