研究課題/領域番号 |
26350879
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
絹川 真太郎 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60399871)
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研究分担者 |
筒井 裕之 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70264017)
松島 将士 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80552869)
横田 卓 北海道大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90374321)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ミトコンドリア / 骨格筋不全 / 鉄代謝 |
研究実績の概要 |
本研究課題の初年度であった平成26年度は骨格筋不全モデル動物を作成し、ミトコンドリアにおける鉄代謝異常や酸化ストレス亢進を介したミトコンドリア機能障害があり、mitoNEETタンパク減少が確認された。このことは、C2C12培養細胞でも同様の結果が確認された。本年度は、mitoNEET欠損マウスを作成し、検討を行った。mitoNEET欠損マウスは外観上、野生型マウスと違いがなかった。また、3か月齢ではミトコンドリア内の鉄容量の増加や酸化ストレス亢進は確認されたが、ミトコンドリア機能は保持され、運動能力は違いがなかった。一方、12か月齢のmitoNEET欠損マウスでは、ミトコンドリアの形態異常、機能異常と同時に、運動能力の低下が確認された。さらに、3か月齢のmitoNEET欠損マウスに圧負荷肥大心を作成したところ、野生型マウスに手術を行った場合と比較して更なる悪化が確認された。ミトコンドリア機能や酸化ストレスの亢進があり、悪化の原因としてこれらの機序が関わっていると考えられた。しかしながら、ミトコンドリア内鉄容量の更なる増加はなく、むしろ低下する傾向があり、現在、このメカニズムを解析中である。 次に、mitoNEET欠損によるミトコンドリア内鉄容量増加の機序を検討した。これまで知られていた鉄流入や流出に関わるタンパクに変化がなかった。そこで、タンパク相互作用を検討したところ、鉄代謝に関わる細胞質のタンパク(X)とミトコンドリア内へ物質を輸送する可能性があるミトコンドリア内膜タンパク(Y)とmitoNEETが結合することを見出した。今後、この点に関してさらなる解析のためin vitroで検討予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初申請時点の計画は仮説通りに進んでいる。さらに、うまくいかない場合の計画も予定していたが、十分に計画通りに進んでいる。さらに、実績概要でも述べたように、当初基地の鉄代謝に関わるタンパクの変化が起こっていると仮説を立てていたが、むしろ新たなmitoNEETとの相互作用を有するタンパクを発見するに至り、発展が期待できる研究結果となっている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は当初の予定通り、骨格筋不全に対する薬物療法の可能性を検討する研究課題を推進する予定である。また、我々が見出したmitoNEETとの相互作用を有する新たなタンパクとの関連に関しても研究を推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月中に納品された物品が4月支払となったため
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次年度使用額の使用計画 |
未使用額分95241円は4月末に支払われる
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