研究課題
平成20年から実施されている特定健診では、検査、問診により、40歳以上の生活習慣病ハイリスク集団を抽出し保健指導を行っている。一方、20代、30代の健診受検者は、検査項目が異常になることは少なく、将来の生活習慣病発症を効果的に予測する方法は確立されていない。本研究では、平成16年より他健診施設に先駆け開始した腹囲を含む約10年の経時的データを用い、より幅広い年代に対応できる問診・健診・指導システムの確立をめざした。平成26年度、生活習慣病や老化との関連が示唆される種々のマーカーの測定を開始し、27年度、喫煙、FGF21、αKlothoと生活習慣病リスク因子との関連を報告した。本年度は10年間の経過観察可能であった若年者においても10年前のBMI、腹囲が現在の健診データと関連すること、現在生活習慣病治療中の者の予測にも有用であることを見いだした。また短期間の検討では、腹囲の変化がBMIの変化よりリスクの変化に強く相関していたが、10年間の変化を追うと、BMIの変化のほうが、より強く相関していた。さらに10年間のBMIや腹囲の変化に影響を与える生活習慣を検討すると、睡眠時間が有意な関連性を示し、ストレスの自覚もある程度の関連を示した。喫煙に関しては、短期間の検討ではBMI・腹囲(腹囲がより増加)が増加していたが、10年間の検討では、BMI・腹囲ともやや減少の傾向がみられた。以上、FGF21とαKlothoは喫煙による生活習慣病発症に関与する可能性を示した。禁煙は短期間では、体重を増加させるが、10年間では体重を増加させることはなく有用な介入手段と考えられ、禁煙活動をさらに充実させているところである。また若年者の10年間のBMIの変化は、リスク因子と良く相関し、体重コントロールへの介入が重要であると考えられ、睡眠への介入も有用である可能性が考えられた。
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