研究課題/領域番号 |
26350892
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
百田 龍輔 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80263557)
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研究分担者 |
大塚 愛二 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50168986)
内藤 一郎 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (60362993)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コラーゲン / 基底膜 / ミトコンドリア / ショウジョウバエ / アンギオテンシンII受容体1型 |
研究実績の概要 |
我々はXV/XVIII型コラーゲンとミトコンドリア間での相互作用において、Angiotensin II受容体1型の阻害薬(ARB)と結合しうるショウジョウバエのGプロテイン受容体(GPCR)が関わっているとの仮説に基づき、新規GPCRの検索を行っている。まず、ショウジョウバエデータベースFLYBASEにて筋組織において発現または何らかの機能をもつことが示唆される約18000の遺伝子を抽出し、それらに対してGOターム検索を行い約100のGPCRを絞り込んだ。さらに、次世代塩基配列解析データベースmodENCODEの転写産物クラスター解析より、mp遺伝子と発現パターンが似ている遺伝子を検索した結果、約10の候補に絞り込むことができた。このうちARB結合配列を持つ遺伝子を有力候補として現在その機能解析を行っている。 ショウジョウバエXV/XVIII型コラーゲン相同遺伝子mp遺伝子が発現する組織において、新規GPCR遺伝子に対するRNAiを強制発現するために、mp遺伝子の転写調節領域をクローニングして、mp遺伝子ドライバーショウジョウバエを作成することができた。 また、新たなミトコンドリア病の原因として考えられるXV/XVIII型コラーゲン関連疾患の診断方の開発を目的として、病理診断に用いる抗体の検索を行った。その結果、XV型・XVIII型コラーゲンのそれぞれについて候補となる抗体が見つかり、さらにその反応条件を確立することができた。XV型コラーゲンを原因とする疾患は現在のところ、まだ見つかっていないが、これまでの我々のグループをはじめとする研究結果から未知の拡張型心筋症の症例の中にXV型コラーゲンの異常を原因とするものがあるのではないかと考えている。本学の倫理委員会の承認後より拡張型心筋症患者の病理組織標本を用いて、XV型コラーゲン異常を原因とする症例の検索を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新規GPCRの検索については、当初はARBと高い親和性をもつ受容体で行う予定であったが、ARB親和性の低いGPCRも筋において作用があることから、あらためて検索を行い、筋に発現する、あるいは、遺伝子変異により表現型が認められたGPCRも含めて候補となるものを抽出した。 解析に必要なショウジョウバエ系統の作成はおおむね終えることができた。 当初時間がかかると思われた、病理診断に用いる抗体の検索と反応条件の検討は順調に進めることができた。現在は、臨床医・病理医の協力を得てXV/XVIII型コラーゲンを原因とする未知のヒト疾患の検索に着手している。
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今後の研究の推進方策 |
新規GPCRの検索を引き続き続けてゆく。新規GPCR発現異常をきたすショウジョウバエ、RNAi強制発現系を用いたショウジョウバエの表現型の解析をすすめ、ショウジョウバエXV/XVIII型コラーゲンmpとの遺伝学的・生化学的相互作用について検討を行う。 H27年度以降は、哺乳動物細胞でのミトコンドリアの分布、形態、機能がXV/XVIII型コラーゲンの有無でどのような差を生じるかについて詳細な検討を行ってゆく。 また、引き続きXV/XVIII型コラーゲン異常を原因とする未知のヒト疾患の検索についても今年度と同様に過去の病理標本を中心に続けてゆく。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を希望していた品目は高額なため、購入することを断念し他の研究室、共同研究施設のものを利用することにした。他に研究のために必要なショウジョウバエの飼育装置を購入したが、当初予定より物品費を抑えることができたため。
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次年度使用額の使用計画 |
GPCR変異系統、RNAi系統のショウジョウバエなどの購入、染色用の抗体などの試薬、哺乳動物由来の細胞培養に必要な消耗品などに利用して本年度以降の研究を続けて行きたい。
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