研究課題/領域番号 |
26350896
|
研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
正木 孝幸 大分大学, 医学部, 助教 (00423715)
|
研究分担者 |
後藤 孔郎 大分大学, 医学部, 助教 (10457624)
柴田 洋孝 大分大学, 医学部, 教授 (20245484)
千葉 政一 大分大学, 医学部, 助教 (20457633)
加隈 哲也 大分大学, 医学部, 講師 (80343359)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | ストレス |
研究実績の概要 |
メタボリックシンドロームの発症の原因としては過食など食事量の増加が原因になることが多い。また食事量の増加にイライラ食いなど精神的なストレスが誘因で起こることも見られる。しかしなぜストレスが加わることで食事量が変化するのか、さらに肥満症やメタボリックシンドロームにつながるのかの解析、特に末梢や脳内関連因子の解析は未だである。そこで今回の実験目的はストレス関連の末梢と脳内因子の解析を行いストレスと過食、メタボリックシンドロームの関係について解明することである。 今年度も昨年に準じてマウスをストレスの種類により通常モデル群、物理的なストレスである 寒令水足ストレス負荷、精神的なストレスである攻撃ストレス負荷の3群を用いて解析した。60%高脂肪食を摂取したときは、寒令水足ストレス負荷と攻撃ストレス負荷の2群で摂食量の増加とストレス性の過食になる知見とまたストレス負荷の2群では、血液中の中性脂肪濃度とインスリン濃度の上昇、肝臓および骨格筋内の中性脂肪含量の増加所見を認めた。今年度は、以上の所見と併せて血中インターロイキン6の上昇と脳内ヒスタミン合成酵素の上昇所見を認めた。脳内のヒスタミンH1受容体の発現の変化は認めなかった。肝臓および骨格筋内の中性脂肪含量の増加との脳内ヒスタミン合成酵素の解析を行うと有意な相関関係を認めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的の達成度の区分としてはおおむね順調に進展している。平成27年度の計画ではストレス誘導性の肥満メタボリックシンドロームモデル動物の末梢性因子の更なる解析と、脳内のストレス関連分子の解析を行うことであった。血中、末梢組織の糖脂質代謝因子の解析では追加項目として白色脂肪、血中内のインターロイキン6のサイトカイン測定を行った。また脳内ではヒスタミン合成酵素、ヒスタミンH1受容体、ヒスタミンH2受容体の変化の解析を進めた。ストレス誘導性の肥満メタボリックシンドロームモデルの、血液中の中性脂肪濃度とインスリン濃度の上昇と肝臓および骨格筋内の中性脂肪含量の増加が、血中インターロイキン6と脳内ヒスタミン合成酵素と関係している知見が得られており全体としてはおおむね順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成28年度の計画では脳内ヒスタミン合成酵素についてその受容体の発現の再解析と併せて、ヒスタミンH1、H2受容体阻害剤とヒスタミンH1、H2受容体欠損マウスを用いて、前述した肥満や肝臓および骨格筋内の中性脂肪含量、メタボリックシンドローム関連因子への役割を検討する。因子のサイトカイン測定は、ウエスタンブロッティング法やエライザ法で実施する。また脳内での因子の変動は抽出した各核の凍結サンプルを用いたウエスタンブロッティング法、免疫染色法などを用いて解析を進める。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に寒令水足ストレス負荷群などのストレス誘導肥満症モデルにおける、各脳内領域(視床下部、視床、大脳皮質等)における抽出した凍結サンプルを当該モデル神経核内で発現する遺伝子の発現量を比較検討した。ストレス誘導肥満症モデルより抽出した脳内サンプルの一部が不良で解析できなかったため未使用額が発生した。特に脳内でのH2受容体の発現解析はうまく検出できず解析法の再検討中であり、未使用額が発生している。またそれらの発表や理解を深めるための学会や研究会等への旅費等も滞った。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の未使用分を用いて、平成28年度に通常モデル群、寒令水足ストレス負荷実験のためのモデル動物の凍結サンプル抽出のための機器等を追加購入したい。また更なる解析のためにより検出力の高いプローブや試薬も購入したい。併せてそれらの発表や理解を深めるための学会や研究会等への旅費等にも使用したい。
|