研究課題
肥満症の発症の原因としては過食など食事量の増加が原因になることが多い。また食事量の増加に衝動食いなど精神的なストレスが誘因で起こることも見られる。しかしなぜストレスが加わることで食事の量が変化するのか、さらに肥満症や糖尿病、脂質異常症につながるのかの解析、特に末梢や視床下部内の因子の解析は未だである。そこで今回の実験目的はストレス関連の末梢と視床下部内因子の解析を行いストレスと過食、肥満症との関係について解明することである。昨年度に準じてマウスをストレスの種類により通常モデル群と物理的なストレスである寒令水足ストレス負荷群に分けて解析した。60%高脂肪食を摂取したときは、寒令水足ストレス負荷群で摂食量の増加とストレス性の過食になる知見を得た。また各因子のサイトカイン測定は、ウエスタンブロッテイング法やエライザ法で実施した。視床下部内での因子の変動は抽出した凍結サンプルを用いたウエスタンブロッテイング法などを用いて解析を進めた。ストレス負荷の2群では血液中の中性脂肪濃度とインスリン濃度の上昇、肝臓および骨格筋内の中性脂肪含量の増加所見を認めた。今年度は、以上の所見と併せて視床下部内の因子を解析した。寒令水足ストレス負荷群において視床下部内のneuropeptide Yの上昇する所見を認めた。肝臓および骨格筋内の中性脂肪含量の増加との脳内neuropeptide Yの相関解析を行うと有意な相関関係を認めた。これらの結果よりマウスに高脂肪食下でストレスを与えると視床下部内のneuropeptide Yが肥満や糖脂質の代謝異常に関係することが示唆された。
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