膵β細胞特異的TNFα過剰発現マウスは著明なinsulitisを呈しているが、インスリン分泌は比較的良好に保たれており、過栄養負荷に対しても糖代謝は良好であった。インスリン産生細胞が形態的、機能的障害に陥ったとしても、そこからparacrineしたTNFαにより、グルカゴンやソマトスタチンの機能的障害が同時に存在するため、相対的にインスリン作用が優位となり、糖尿病抵抗性になると考えられた。膵β細胞特異的TNFα過剰発現マウスは肥満抵抗性、脂肪肝抵抗性を示したことから、自己免疫性1型糖尿病の発症メカニズムの解明に向けたモデルと言うより、むしろ過栄養性脂肪肝抑制モデルとしての価値が注目された。
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