研究実績の概要 |
我々は高強度の運動(high-intensity interval training (HIIT))について着目し、まず、健常男性12名を対象として、1回16~24分、週2回、16週間、下肢エルゴメーター(Leg cycling (LC))のみを90%VO2以上で行う群(n=7)と、下肢エルゴメーター(LC)に上肢エルゴメーター(Arm cycling (AC))を加えて90%VO2以上で行う群(n=5)とに無作為に分けて、実施前後での運動耐容能、体組成を評価した。LCによる評価で、LC群では、最大運動レベルが217±27→267±18 (Watt)へと23.4%有意に改善した一方、LC+AC群でも、225±32→250±23 (Watt)へと11.0%有意に改善した。体組成の変化では、大腿四頭筋面積が、LC群では、69.8±8.3(cm2)→75.2±10.1(cm2)へと、LC+AC群では75.4±5.7(cm2)→79.3±7.5(cm2)へと有意な増加を認めた。本内容については、第34回日本肥満症治療学会学術集会(2016年7月)で報告した。 また、本検討では、ヒト血中脂肪酸分画と体組成、経口糖負荷試験(OGTT)時の各指標との関連を検討した。OGTTを施行した111例(男54/女57, 平均年齢51.5±1.1歳(mean±SEM))を対象とし、空腹時血清にて遊離脂肪酸24分画などの指標を、CTスキャンにて内臓脂肪面積、皮下脂肪面積を測定した。この結果、運動開始前にはDMでは、IGT, NGTに比較して、血中リノール酸濃度が有意に低かった (p=0.017)。血中リノール酸濃度は内臓脂肪面積、HOMA-IRと逆相関、ISI(comp)と正相関していることと関連する可能性がある(J Diabetes Res: article ID 1567467, 2017)。
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