研究課題/領域番号 |
26350907
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
山倉 文幸 順天堂大学, 医療看護学部, 教授 (20053358)
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研究分担者 |
川崎 広明 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (40531380)
飯泉 恭一 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (30439351)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ニトロトリプトファン / アポEタンパク質 / SHR |
研究実績の概要 |
平成26年度は、高血圧モデルの血清中に認められるトリプトファンニトロ化Apolipoprotein E (ApoE)が、高血圧下の循環器や脳血管の障害を反映するものであるのかを明らかにする為、循環器や脳におけるApoEのトリプトファンニトロ化を調べた。脳卒中発症直前の18週齢の自然発症高血圧モデルSHR-SPの心臓及び大脳からタンパク質抽出を行い、抗ニトロトリプトファン抗体を用いたウエスタンブロッティングと質量分析により、ニトロ化タンパク質の検出を試みた。その結果、それら臓器ではニトロトリプトファン生成が顕著に増加していることが示された。質量分析によるトリプトファンニトロ化タンパク質の同定の結果、心臓ではGlyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase、Triosephosphate isomeraseha、Galactoside 2-alp-L-fucosyltransferase 2、Voltage-dependent anion-selective channel protein 1の4種タンパク質中に、大脳ではProprotein convertase subtilisin/kexin type 7、Tubulin beta-2A chain、Alpha-enolase 、Beta-enolase 、LIM/homeobox protein Lhx5の5種タンパク質中にニトロトリプトファンを確認した。現状では、ApoEのニトロ化の検出は成功していないが、現在質量分析条件等の改良を試みているところである。この検出に成功し次第、トリプトファンニトロ化ApoEの生成と高血圧の進行度との相関の解析に着手する。また、今回新たに心臓や大脳で発見された他のトリプトファンニトロ化タンパク質についても、ニトロ化による機能傷害と高血圧下での各種病態形成との関連性に関して解明してゆく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は髙血圧症の発症および脳卒中発症までの各週齢(5,10,15,20週齢)での血清、脳組織、循環器(心臓)でのアポEタンパク質のニトロトリプトファン生成について検討する予定であったが、臓器での検出が予定どおり出来なかった。LC-MS/MSの検出条件等を現在検討中である。この点が予想外であった。 この様な予想外の困難に直面したため、当初の計画にあった、ラット血中へニトロ化アポEを投与して血管および脳組織での動脈硬化等の病態を調べるという介入実験は、次年度以降に延期した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、LC-MS/MSの検出条件等を改良し、大脳および心臓でのニトロトリプトファン化アポEの検出を試みているが、もし、うまく検出出来ない時には、臓器でのニトロ化アポEの検出は中止し、血清のみで病態との関連を調べるか、あるいは、臓器で見いだされたニトロ化タンパク質が血清でもSHR-SP特異的なニトロ化タンパク質見いだせないか検討する予定である。また、肝臓、腎臓に関してもSHR-SP特異的なニトロ化タンパク質の検出を行う予定である。
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