研究課題
我々は動脈硬化部位などの疾患病変部でアポリポプロテインEのトリプトファンニトロ化が生じているという作業仮説のもと研究を遂行してきた。しかし前年度までの研究で、心臓や脳など各種組織中からはアポリポプロテインEのトリプトファンニトロ化を検出できなかったことから、トリプトファンニトロ化アポリポプロテインEの生成は血中で生じているのではないかという新たな仮説を立てた。そこで、血中でトリプトファンニトロ化を受けているアポリポプロテインEの詳細を調べるために、血中リポタンパク質を簡易的に分画し、各画分中のトリプトファンニトロ化アポリポプロテインEの有無を調べた。その結果、LC-MS/MS解析によって、VLDL/LDL/キロミクロンを含む画分中にトリプトファンニトロ化アポリポプロテインEが生じていることを明らかにした。同様の画分のアポリポプロテインA-1にもニトロトリプトファンが検出された。また、in vitroで組み換え体アポリポプロテインEに対し活性窒素種を曝露する実験を行ったところ、コレステロールの非存在下では高分子量の部分にニトロトリプトファンが検出だれたが、モノマーには検出されなかった。一方、コレステロールと混和したアポリポプロテインEではin vivoと同様にモノマーのアポリポプロテインEニトロ化が認められた。これらの結果から、血中でコレステロールと結合状態にあるアポリポプロテインEがトリプトファンニトロ化の標的となっている可能性が示された。今後どの様な仕組みでトリプトファンがニトロ化されるのか検討する予定である。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
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