研究課題/領域番号 |
26350908
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
小風 暁 昭和大学, 医学部, 教授 (70271583)
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研究分担者 |
木庭 新治 昭和大学, 医学部, 准教授 (20276546)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ミトコンドリア遺伝子多型 / 長寿 / 生活習慣 / 活性酸素 / 行動変容 / 遺伝的リスク値 |
研究実績の概要 |
Mt5178C/A多型におけるコーヒー飲用と血清塩素濃度との関係について検討した。女性、データに欠損がある人を除く402名を対象とした。Mt5178C/A遺伝子型の判別は制限酵素AluIを用いたPCR-RFLP法によった。コーヒー飲用については、1日1杯未満、1-3杯、4杯以上の3群に分けた。過去の疫学研究の結果を踏まえて、血清塩素濃度100mEq/L未満を血清塩素低値とした。その結果、血清塩素濃度についてはMt5178C/A遺伝子型間において有意差は認められなかった。Mt5178C型においては、コーヒー飲用杯数は増えるほど血清塩素濃度が上昇した(P for trend = 0.001)。年齢、BMI、飲酒習慣、喫煙習慣、緑茶飲用、降圧剤の有無で調整した後も、同様の傾向を認めた(P for trend = 0.002)。また、コーヒー飲用杯数が増えるほど血清塩素低値のリスクが低下した(P for trend = 0.032)。調整後も同様の結果を得た(P for trend = 0.028)。一方、百寿者に多いとされるMt5178A型においては、コーヒー飲用と血清塩素濃度との関連は認められなかった。これらの結果から、Mt5178C/A多型はコーヒー飲用の血清塩素濃度への影響を修飾する可能性が示唆された。以上の研究結果をまとめて、現在、専門誌への投稿準備中である。 また、Mt5178C/A多型におけるコーヒー飲用と眼圧との関係についても検討を行い、英文原著論文を作成中である。 なお、昨年の研究実績にて報告したMt5178C/A多型におけるコーヒー飲用と肝酵素上昇との関係についての英文原著論文は専門誌(J. Physiol. Anthropol. 35: 15, 2016)に掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
データマイニングによる研究はこれまで3編の英文原著論文を発表しており、概ね順調である。今後2編の英文原著論文の発表を計画している。しかし、昨年同様、遺伝的リスク値に関するアンケート調査に基づく研究については英文原著論文の作成には至っておらず、また、心臓リハビリテーション実施者を対象とした活性酸素の測定については未だに開始できていないため、進捗状況は「遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
既存データのデータマイニングによる研究はこれまで通りに進め、英文原著論文を作成、発表する。遺伝的リスク値のアンケート調査に基づく研究については解析を進め、できるだけ早期に英文原著論文の作成に取り掛かる。心臓リハビリテーション実施者を対象とした活性酸素の測定についても一部内容の見直しも含め、早期に開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
心臓リハビリテーション実施者を対象とした活性酸素の測定が未だに開始できていないため。また、平成28年度は英文論文の発表が1編のみであったため。
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次年度使用額の使用計画 |
心臓リハビリテーション実施者を対象とした活性酸素の測定については一部測定内容の再検討も行った上で早期に開始したい。その際、測定に必要となる物品などで研究費を使用したいと考えている。また、既存データのデータマイニングによる研究および遺伝的リスク値に関するアンケート調査に基づく研究の成果を英文原著論文として発表する際の英文校正代、投稿料、掲載料に使用する予定である。
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