研究課題/領域番号 |
26350909
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
高橋 芳久 帝京大学, 医学部, 准教授 (70334381)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 飲酒 / コーヒー |
研究実績の概要 |
平成27年度には、少量飲酒がマウスの非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を抑制し得るかを調べるための実験を行った。9週齢、雄のdb/dbマウスを以下の3群に分けた(各群6匹):①コントロール食群、②高脂肪食群、③低アルコール群。それぞれにはコントロール液体飼料、高脂肪液体飼料、0.2%エタノール添加高脂肪液体飼料を自由摂食させた。6週間後にマウスを屠殺し、血清生化学的、病理学的、分子的検討を行った。結果として、肝/体重比は高脂肪食群がコントロール食群よりも有意に高く、低アルコール群が高脂肪食群よりも有意に低かった。血清AST、ALT値は、高脂肪食群がコントロール食群よりも高く、低アルコール群が高脂肪食群よりも有意に低かった。肝組織像では、小葉内炎症や門脈域炎症は高脂肪食群がコントロール食群よりも高度であり、低アルコール群が高脂肪食群よりも有意に軽度であった。NAFLD活動性スコアも、高脂肪食群がコントロール食群よりも高く、低アルコール群が高脂肪食群よりも有意に低かった。肝組織を用いたリアルタイムRT-PCR法による解析で、tumor necrosis factor (TNF)-α、transforming growth factor (TGF)-β1の発現量は高脂肪食群がコントロール食群よりも高く、低アルコール群は高脂肪食群よりも低かった。また、peroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)α、PPARγの発現量は高脂肪食群がコントロール食群よりも低く、低アルコール群が高脂肪食群よりも高かった。以上から、少量のエタノール摂取がマウスのNAFLD病変を抑制することが示唆された。これは、NAFLD患者に対するこれまでにない生活指導に結びつきうる成果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コーヒーの成分のNAFLD動物モデルに対する抑制効果を調べる研究は、被検物質の一つであるカフェストールの入手や、被検物質を添加した特注飼料の作製に時間を要しているために開始が遅れている。また、ヒト症例を用いた臨床的・病理学的研究は、肝生検で確認されたNAFLD症例の蓄積が不十分なために遅れを生じている。
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今後の研究の推進方策 |
コーヒーの成分のNAFLD動物モデルに対する抑制効果を調べる研究は、被検物質の入手が完了し、現在Research Diet社に特注飼料の作製を依頼中である。特注飼料が納品され次第、実験を開始する。また、ヒト症例を用いた臨床的・病理学的研究は、検討に十分な症例が蓄積され次第開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コーヒーの成分のNAFLD動物モデルに対する抑制効果を調べる研究の開始が遅れているため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
コーヒーの成分のNAFLD動物モデルに対する抑制効果を調べる研究は今年度の早期に開始出来るめどが立っており、次年度使用額はそれに使用する予定である。
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