最初の研究では、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)モデルマウスに対する、少量・中等量・多量アルコール投与の影響を調べた。9週例、雄のdb/dbマウスを以下の5群に分けた:コントロール食群、高脂肪食群、0.1%(低)エタノール添加高脂肪食群、0.5%(中)エタノール添加高脂肪食群、2.5%(高)エタノール添加高脂肪食群。6週後にマウスを屠殺し、血清生化学的、病理組織学的、また分子的検討を行った。結果として、肝/体重比、血清AST・ALT値は低エタノール群が高脂肪食群よりも低く、また肝組織における小葉内や門脈域炎症は、低エタノール群が高脂肪食群よりも軽度であった。コントロール食群、高脂肪食群、低エタノール群の3群で有意差検定を行うと、上記項目ではいずれも高脂肪食群と低エタノール群との間に有意差がみられた。以上から、少量のアルコール投与はマウスのNAFLDを抑制することが示された。 次の研究では、NAFLDモデルマウスに対する、コーヒーの代表的成分投与の影響を調べた。7週齢、雄のC57BL/6Jマウスを以下の5群に分けた:コントロール食群、CDAHFD(コリン欠乏0.1%メチオニン含有高脂肪食)群、カフェイン群、クロロゲン酸群、カフェストール群。カフェイン群、クロロゲン酸群、カフェストール群では、CDAHFDにそれぞれ0.05%カフェイン、0.1%クロロゲン酸、0.01%カフェストールを添加した。7週後にマウスを屠殺し、最初の実験と同様の検討を行った。結果として、血清ALT値はカフェイン群、クロロゲン酸群がCDAHFD群よりも高値であった。コントロール食群、CDAHFD群、カフェイン群、クロロゲン酸群の4群で有意差検定を行うと、その差は有意であった。以上から、本研究に用いた用量では、カフェインやクロロゲン酸はマウスのNAFLD病変を増悪させることが示唆された。
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