研究課題
ガラニン様ペプチド(GALP)は、Gタンパク質共役受容体(GPCR)の内因性リガンドとして同定された生理活性ペプチドであり、摂食や生殖作用に関与することから、創薬への応用が期待されるペプチドである。我々はこれまで、GALPの投与実験により、GALPは摂食量や体重の減少、さらにはエネルギー代謝亢進作用を持つことを明らかにしてきた。そこで我々は、GALPのヒトでの臨床応用を目的とするため、まず、点鼻投与によるGALPの確実な脳内移行を評価し、痛みや副作用を伴わない、簡易的なGALP点鼻投与法を開発した。さらにそのGALP点鼻投与は、14日間の連続投与において、野生マウスよりも、肥満モデルマウスにおいて、有意な体重や摂食量の減少を確認した。一方、マウスを用い、GALP投与に加え、回転かごによる自発運動を課すことにより、酸素消費量及び発熱量が上昇し、体重が減少することを確認した。さらに、自発運動群では、GALP群はvehicle群に比し、肝臓、骨格筋の代謝関連酵素のうち、 PEPCK及びSREBP-1のmRNA発現量の減少を認め、GALP投与による糖新生の抑制及び脂肪酸合成の抑制の関与が示唆された。このような結果から、効率の良い肥満解消の療法のとして、ペプチドと運動の併用は、高い抗肥満効果が得られ可能性が示唆された。さらにGALP投与では基礎代謝の亢進が得られることが明らかになり、その原因として、また、GALPは交感神経系を介して肝臓と白色脂肪組織での脂質代謝を亢進することが確認した。また、マウスのGALP投与により、呼吸商の低下を確認し、脂質代謝亢進が示唆さ、メタボローム解析およに遺伝子発現を解析したところ、肝臓の脂肪酸合成系の遺伝子発現が減少し、脂肪酸化系の遺伝子発現が亢進したことを確認した。
すべて 2016
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