研究課題/領域番号 |
26350915
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研究機関 | 東京工科大学 |
研究代表者 |
山本 順寛 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (60134475)
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研究分担者 |
加柴 美里 東京工科大学, 教養学環, 講師 (80338186)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 酸化ストレス / 酸化型コエンザイムQ10の割合 / 血漿遊離脂肪酸量 / パルミトレイン酸 / オレイン酸 / 筋萎縮性側索硬化症(ALS) / 心肺停止救急患者 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は生死を分けるリスクファクターの見極めと,それの加齢による変化を明らかにすることである.リスクファクターとして 血管内の酸化ストレスマーカーである血漿コエンザイムQ10の酸化型の割合(%CoQ10)と細胞組織の酸化傷害マーカーである遊離脂肪酸量(FFA),遊離脂肪酸中のパルミトレイン酸やオレイン酸の割合(それぞれ%16:1と%18:1)に注目している.死に直面している疾患として心肺停止救急患者に注目し,データを順調に蓄積しているが,限定的であるため,解析結果は次年度に報告する. 死に直面している別の疾患に,筋萎縮性側索硬化症(ALS)がある.現在のところ満足できる治療法はなく,発症後48ヶ月で死亡する神経難病である.ALS患者に対しフリーラジカル消去薬エダラボンを投与しその効果を吉野英医師と共同で検証した.投与により6ヶ月間病状の進行が抑制された患者は13人中6人で,非投与では19人中0人なので明らかに投与効果が認められた.%CoQ10は健常人よりも優位に高いが,FFA量,%16:1,%18:1は大差なかった.%CoQ10の低下は認められなかったが,経過良好群では一過性のFFA量,%16:1,%18:1の上昇は抑制された.したがって,CoQ10の投与などで%CoQ10の低下が実現できれば,さらに治療効果があがることが期待できる.また,FFA量,%16:1,%18:1は症状悪化の指標であり,すなわち生死を分けるリスクファクターとして有望であると考えられる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
心肺停止救急患者の入院後の血漿を経時的に採取し,血管内の酸化ストレスマーカーである血漿コエンザイムQ10の酸化型の割合(%CoQ10)と細胞組織の酸化傷害マーカーである遊離脂肪酸量(FFA),遊離脂肪酸中のパルミトレイン酸やオレイン酸の割合(それぞれ%16:1と%18:1)の測定を順調に進めている. 死に直面している別の疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)の患者に対するフリーラジカル消去薬エダラボンの投与効果を検証する機会を得て,上記マーカーの測定を行った.%CoQ10は健常人よりも優位に高いが,FFA量,%16:1,%18:1は大差なかった.%CoQ10の低下は認められなかったが,経過良好群では一過性のFFA量,%16:1,%18:1の上昇は抑制された.したがって,CoQ10の投与などで%CoQ10の低下が実現できれば,さらに治療効果があがることが期待できる.また,FFA量,%16:1,%18:1は症状悪化の指標であり,すなわち生死を分けるリスクファクターとして有望であると考えられる.この結果を論文にまとめ,現在投稿中である. したがって,研究は当初の計画以上に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
順調に進展しているので,このまま押し進めていく.また,別の死に直面する疾患として敗血症をとりあげるが,既に試料の提供を受け分析を開始した.
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次年度使用額が生じた理由 |
HPLCカラムの新品への交換が次年度に持ち越されたため.
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次年度使用額の使用計画 |
初年度に購入を予定していた分析用HPLCカラムを購入する. その他,HPLC溶媒や蛍光試薬,チップやHPLCバイアル等の消耗品は,計画通り購入予定である.
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