研究実績の概要 |
平成28年度は糖尿病実験動物の血液・尿・臓器組織中AGEs(advanced glycation end products)及び中間体、メラトニン代謝産物の測定を行った。糖尿病モデル動物としてdbdbマウスを用い通常食餌により飼育、6, 8, 10, 12, 14, 16週齢で3匹づつ屠殺、以下の検体:血液、膀胱内尿、大腿骨、下肢関節、下肢骨格筋、肝、膵、脾、腎、心、小腸を得た。これらの組織・体液中のAGEs及び中間体(蛍光性AGEs、pentosidine, CML [carboxymethyllysine], 3DG [3-deoxyglucosone], GO [glyoxal], MG [methylglyoxal])、メラトニン代謝産物6-hydroxymelatonin sulfate (SaMT)を測定した。その結果、糖尿病モデルマウスでは糖化ストレスにより下肢関節及び腎にAGEs蓄積が8週齢よりみられ、その後AGEs蓄積量が増加し10週齢以降で極めて顕著になることが示された。しかし尿中及び血液中SaMTは検出感度以下で、実験動物におけるメラトニン代謝産物の評価は困難であった。 ヒトにおける評価を目的として、京都市有隣地域在住の自立生活高齢男女25例(65~85歳、73.2±6.5歳)を対象としてアンチエイジング健診を施行、夜間膀胱内蓄尿中SaMTを測定した結果、SaMTは筋年齢、血管年齢、神経年齢、骨年齢とは相関がなかったが、ホルモン年齢との負相関(r = 0.479, p < 0.05)を認めた(Kawamotoら2016)。過去3年間にわたり運動を奨励した結果、皮膚AGEs蓄積量の減少が認められた。ヒトではSaMTはメラトニン分泌量を反映する指標として意義がある。 今後メラトニンと糖脂質代謝の関連を探るうえで動物実験結果へ偏向しすぎないよう注意が必要である。
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