研究課題/領域番号 |
26350930
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
今川 真治 広島大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (00211756)
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研究分担者 |
権田 あずさ 広島大学, 教育学研究科(研究院), 助教 (40710851) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 親子関係 / 愛情表出 / 食事場面 / 子どもの行動 |
研究実績の概要 |
親の子どもに対する愛情表出に関わる意識と行動との関連を調べる目的で,今年度は食を通した親の愛情の現れ方を検証することを試みた。 研究協力園2園(1園は幼稚園,他の1園は保育園)を対象に,幼児の食事場面の行動観察を実施するとともに,保護者(主として母親)の食意識に関する質問紙調査を行い,親の食意識と,子どもの食事場面における行動の間にどのような関連がみられるかについて検討を行った。 その結果,幼稚園児の母親には家族みんなで食事をとることの重要性を感じているものが多く,保育園児の母親には,会話を楽しみながら食事をすることやマナーに気をつけることの重要性を意識する傾向がみられた。 また,保護者の中には,食を通して自らの子どもへの想い(愛情)を伝えていると意識できているものがいる一方で,食を通した愛情表出を全く意識していないものがいた。しかし,今回のアンケートを通して,食事をともにすることや,子どもの好きな食事を準備したり,逆に子どもが苦手とするものを食べられるようにすることによっても自己の愛情を伝えることに繋がることに気づいた保護者がいた。 食による愛情表出は,子どもを抱きしめることや,言葉で直接に愛情を伝えることと比較すると,保護者自身に意識されにくい傾向があるといえるが,いったんそれを意識できるようになると,毎日の食事や弁当作りなどを通して親と子の繋がりを再認識することに繋がることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
保護者に対する数種類の質問紙調査の準備が完了し,そのうち,食を通した愛情表出に関するアンケート調査と子どもの食事場面における行動との関連の一端を明らかにすることができたが,保育園や幼稚園への送迎場面における日常的な分離,再会場面に関する行動観察と,全般的な親の意識に関する質問紙調査が実施できていない。 また,年度内に実施予定であった海外における調査が実施できなかった。 また,データ収集と学会開催日程等との関係で,研究成果の発表ができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,今年度に実施できなかった海外(アメリカ)における調査を実施する予定である。 実施内容については現在検討中であるが,過去に研究協力を得た複数の保育園や施設と交渉し,調査を実施する予定である。 また,今年度にデータ収集を実施した2つの園において,園児の送迎場面における親子の相互交渉を観察するとともに,保護者に対する質問紙調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
主として,今年度内に実施予定であった海外調査(アメリカ)が実施できなかったことによる。 また,研究協力者の任期満了に伴う年度末の離脱により,配分額のうち一部が未使用となったため,次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度に実施できなかった海外調査(アメリカ)を実施することにより使用する予定である。
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