研究課題/領域番号 |
26350932
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
道信 良子 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70336410)
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研究分担者 |
加賀谷 真梨 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50432042)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ヘルス・エスノグラフィ / いのちの景観 / 子ども / 環境 / 医療 / 医療人類学 |
研究実績の概要 |
利尻島における実績は次のとおりである。2016年6月に利尻町仙法志で行われた神社大例祭に参加し、子どもが担う役割を調査し、同じく6月に、利尻町長浜で行われている利尻麒麟獅子舞の歴史と子どもの成長を願う儀礼の意味について調査した。2017年3月に利尻町仙法志の小学校で参与観察を行い、2014年から2016年までの成長のようすや病気やけがの状況について養護教諭から聞き取りを行った。これまでのフィールドワークから、「いのちの景観」という概念を導き、子どもの健康と医療を考えるうえで欠かせない土地環境の働きについて理論化した。その成果を2016年8月にウガンダで行われた国際学会で口頭発表した。さらに、ヘルス・サイエンスの領域に用いるヘルス・エスノグラフィという方法論を開発し、国内の学会で発表した。波照間島では、前年度に調査協力を依頼した4世帯の子どもとその親に対して、保健行動に関するインタビュー調査を行った。常備薬は配置し利用するもののそれが診療所の利用の妨げにはならないことや、船の欠航の多さが島外の専門医よりも島内の診療所の利用を促していることが明らかになった。また、当初の研究計画にはないが、加賀谷が4月に新潟大学に着任したため、学生らと共に新潟県五泉市の山間集落の悉皆調査を行った。新潟の農村集落の子どもたちが、いかなる社会環境と医療環境の中で生活してきたのかについて明らかにした。冬は雪深くなり陸の孤島と化す新潟の農村集落と沖縄の離島集落との比較を通じて、後者の特徴を的確に理解する視座を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究成果のとりまとめと理論化に時間を要し、その成果を2016年8月にウガンダで行われた国際学会で口頭発表するための準備にも想定以上の時間を要したため、フィールドワークが予定通り実行できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、進捗が遅れている医療環境の調査を早急に実施し、子どもの健康にかかわる知識と行動パターンを離島の社会構造と医療環境との相関で分析を進め、研究の総括を行う。利尻島では、住民を交えて、子どもの健康と医療に関するワークショップを開催する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
これまでの研究成果のとりまとめと理論化に時間を要し、その成果を2016年8月にウガンダで行われた国際学会で口頭発表するための準備にも想定以上の時間を要したため、利尻島と波照間島で予定通りフィールドワークが実行できなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、進捗が遅れている医療環境の調査を早急に実施し、調査に必要な資料や書籍の購入、現地調査のための費用に使用する。
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