研究課題/領域番号 |
26350933
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
野中 壽子 名古屋市立大学, 人間文化研究科, 教授 (10164716)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 幼児 / 保育所 / 園庭環境 / 活動量 / 身体機能 |
研究実績の概要 |
本年度は、外遊びを園庭あるいは園外の公園等で行う場合の実施頻度や実施時間、遊び内容の違い、保育者の意識に関する質問紙調査をもとに、園庭条件の異なる2園において幼児の外遊びの活動状況をライフコーダにより運動量や運動強度を比較して、空間的環境の制約が大きい都市部の保育所における外遊びの実施状況について検討した。 調査内容は、N市公立保育所のうち、園庭が狭いA園(500㎡未満)と、広いB園(1,300㎡以上)の3歳児 42名を対象として、ライフコーダにより保育時間中の活動量と活動強度を測定した。保護者へは事前に保育者を通して調査の趣旨と調査内容、参加は任意であることなどを説明した文書を配布し、保育者に参加の意思を確認してもらった。必要があれば調査者が保護者に直接説明し、全員から同意を得た。 調査の結果、①2週間の平均歩数は園庭の広いB園が有意に多かった。2週間のうち最大は両園とも園外へ出かけた日で、この時は逆に園庭の狭いA園の方が有意に多くなった。②2週間の平均活動強度はB園が有意に多かったが、2週間のうち平均強度が最大となった園外へ出かけた日の活動強度はA園の方が高かったが、有意な差ではなかった。園内での平均歩数、平均活動強度が園庭の広いB園の方が高かったのは当然の結果といえる。園外に出かけることによる歩数の増加は園庭の狭い園で顕著であったことから、園外での活動は体力向上の機会になっていると考えられるが、調査を実施した11月は行事が多い時期ではないにもかかわらず、両園ともに園外に出かけられたのは2週間中1回のみであった。発育の著しい幼児期には日常的に外遊びを行える環境がより重要であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、園庭が狭く園外活動を主体とする園を抽出する予定であったが、保育内容の差異による影響をできるだけ抑えるため同一市内の公立園を対象としたため、狭くても園庭があるため1日に1回は外遊びを園庭で実施している園がほとんどであったことから、園庭が狭い園と広い園の比較に変更した。対象園において3歳後半から4歳後半まで半年ごとに、ライフコーダで歩数と活動強度を計測し、運動機能テストを実施することとしており、平成26年度に予定通り、3歳後半時点での身体活動量の計測とパワー系の運動として立幅跳び(当初予定していた20m走は、園庭が狭い園では実施することができないため、立幅跳びのみとした)、身体制御系の運動として両足連続跳び越しテストを実施した。調査に協力していただいた園児の保護者と保育園に、活動量・活動強度の個人結果をフィードバックして、園での活動状況について報告を行った。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度に引き続き、ライフコーダによる身体活動量・活動強度調査と運動機能の調査を同一被験者について実施する。実施時期は2回目を4歳前半にあたる5月,3回目を4歳後半にあたる11月に実施し、3歳後半・4歳前半・4歳後半の3時点での身体活動量因子と身体機能因子の因果関係について検討を行う。また、保護者への個人結果のフィードバックと研究協力園に対する報告も引き続き行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の活動量調査において、保護者の理解を得るのに時間がかかるとの保育所側の見解により、VTR使用については見送ることとしたため、当初計上していたVTRカメラ2台の購入費用とその解析に必要な謝金の支出をしなかったことによる。また、ライフコーダの購入を調査対象者数に対してぎりぎりの台数しか購入しなかったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は昨年度の実績をもとに保護者の理解を得て、VTR撮影を実施できるようにするとともに、調査対象者が増えた分と機材の不調等に備えるため、ライフコーダを新たに購入する費用に充てる。
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