研究課題/領域番号 |
26350935
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
錦谷 まりこ 九州大学, 持続可能な社会のための決断科学センター, 准教授 (40327333)
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研究分担者 |
鶴ヶ野 しのぶ 電気通信大学, 保健管理センター, 准教授 (10359630)
井上 まり子 帝京大学, 公衆衛生学研究科, 准教授 (20508048)
矢野 栄二 帝京大学, 公衆衛生学研究科, 教授 (50114690)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 非正規雇用 / 健康 / 被扶養家族 / 子ども / 女性 / マルチレベル分析 / 幸福感 / 社会関係資本 |
研究実績の概要 |
今年度は統計情報の目的外利用申請の手続きと、過去に質問紙調査を実施して得たデータを再分析し、雇用者の職種に注目した分析を行い報告した。 まず、国民生活基礎調査および国民健康栄養調査の資料から就業と健康に関連すると予想される項目を抽出し、概要的な分析を試みた。従前の研究で用いた個票データの統計項目を使い、両者のマージを実行する統計解析プログラムを試行的に組み、統計情報利用申請の準備作業を中心に行った。今回の研究では、就業者を単独抽出してマージするのではなく、就業者(特に雇用者)の同居家族を含めそれぞれの健康状態と就業状況の関連を検討するため、世帯ごとの識別の元で各個人をマージさせる必要があり、プログラム作業に時間を要した。並行して統計情報利用の申請を行い、半年をかけて事前審査を受け先日審査が通ったところである。 もう一方の雇用者の職種に注目した分析については、大卒女性の職業が専門的になるほど非正規雇用による健康不安や不本意就労との関連性が高まることが従前の研究で示されたため、学内外の集会でアウトリーチしたほか、科学雑誌に連載の一部として総説の形で報告した。今年度も引き続き、雑誌の総説で発表するほか、シンポジウム、書籍の一部に報告の予定である。 この他、健康アウトカムに対して人間関係の評価に関する分析や、世帯や地域等のクラスター情報を含むデータに関する取扱いを検討する目的で、当該研究より母集団の小さい対象を用いてマルチレベル分析を行い、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
引き続き研究補助者を雇い、研究資料である統計データの整理を効率よく行うことができた。以前入手した統計データを参考に、細かい定義やコードの割り付け、年度による存在不存在を確認し、統計情報利用申請を完了できた。関連した従前の研究のうち、女性就労者に関する結果については、引き続き報告、執筆を行った。また、より適切なデータ分析手段として試みたマルチレベル分析について、分析を実施した研究論文については査読を経て現在出版準備中である。さらに、これらの手法を用い、予備的研究を協同研究者と共に行うことができた。以上の進行を踏まえ、28年度は入手した統計情報をマージし、マルチレベル分析を行い、世帯構成や家族関係を考慮した雇用状態と健康の関係に関する研究に取り組みたい。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は研究資料として利用申請を経て取得した国の基幹統計等の過去20年~30年分を用い、相互にマージしてマルチレベル分析を試みる。また、特に雇用形態の影響を受ける対象を同居の子どもと、社会的な活躍の促進がなされている女性に絞り、その健康指標の変遷を縦断的に分析する予定である。また、健康指標も、主観的健康感や受療率だけではなく、食生活、他者との信頼感など、より社会的に包括された周囲環境や健康要因として分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H27年度は統計情報利用申請準備と取得後に想定される統計プログラミングに時間がかかり、本研究の主題とする家族関係の要素を含めた当該データの分析段階まで至っていない。また、予想外に執筆や講演などの依頼が生じ、当該データを用いた解析の進行や結果の検討や査読(校正や研究協力者、分担者との打ち合わせを含め)等が十分行われていない。以上の事から、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
研究補助者を雇用し、効率よく手続きを進め、データの分析を行う予定である。また、解析方法についても分担研究者と個別具体的に話し合いを進めていく予定である。
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