研究課題/領域番号 |
26350936
|
研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究 |
研究代表者 |
高橋 聡美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究, その他部局等, 教授 (00438095)
|
研究分担者 |
佐藤 利憲 仙台青葉学院短期大学, その他部局等, 講師 (10583031)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 死別 / グリーフ / 子ども / グリーフサポート |
研究実績の概要 |
1.実態調査 全国の遺児支援団体の協力を得て遺児と保護者の現状や抱えている問題点を調査した。結果、母子家庭の貧困の実態が明らかとなった。 2.現行のグリーフサポートの評価 ①保護者らに現在のグリーフサポートの評価をしてもらい、不足している内容について意見をもらった。学習支援に関してケーススタディを行った。結果、1対1での丁寧なかかわりが遺児たちの自尊感情を上げ学習意欲を高めている様子が伺えた。②グリーフプログラムに関する文献レビューを行った。結果、グリーフキャンプや認知行動療法などいくつかの介入においてその効果が示された。特に、子どもとその保護者を対象としたグリーフキャンプに関して、その効果が示されている研究文献をレビューした結果、2000年以降の英文と和文の検索の結果、USAにおける6件のグリーフキャンプの研究が抽出された。研究対象となっているすべてのグリーフキャンプにグリーフワークの時間が必ず設けられており、トラウマティックグリーフやPTSDに関連した症状の軽減・家族間における死に関する会話の増加・孤独感の軽減・コーピングスキルに関する学びなどの効果が見られ、グリーフに関連した知識やスキルを持つスタッフによるグリーフワークを組み込むことはグリーフキャンプの絶対条件であると考えられた。本邦で、今後、グリーフキャンプを展開するにあたっては、従来のキャンプの中にいかにグリーフワークを組み込んでいくかによってより効果的なグリーフキャンプが可能であると思われた。③ USA Dougy Centerによるスーパーバイズ 全米ナショナル子どもグリーフサポートセンターであるDougy Centerにおいて、事例検討およびプログラムに関するスーパーバイズをもらった。結果、日本の特性を踏まえたプログラムの展開の示唆を得た。今後はこれらの示唆をプログラム運営に反映する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アンケート調査に関しては調査団体への調整が遅れており、準備段階にとどまっており全国調査実施まで至っていない。平成27年度に調査予定である。 また個別のヒアリングに関しても今後、継続する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
1.調査の継続 遺児家庭の実態や抱えている問題点に関して継続して調査を行う。また現行のグリーフプログラムに関しては「自尊感情尺度」「PTG尺度」「レジリンス尺度」を用いて調査する予定である。学習支援についてはこれらの尺度に追加して「学習動機づけ尺度」を用いる。USAの全米子どもグリーフシンポジウムに参加し遺児支援を先駆駅に実践しているUSAにおける遺児支援の現状を調査する。 2.全国の遺児支援団体のプログラムの評価 全国で行われている遺児の心理プログラムに関して1で示したような調査を行い、効果を査定すると同時に、効果が現れているプログラムの要因を抽出する。 3..グリーフサポートの構築 これらの調査をもとに遺児の心理プログラム、保護者の心理プログラムおよび社会支援のガイドラインつくりに着手する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
全国の遺児支援団体の調査の進捗が計画よりやや遅れており、アンケートにかかる郵送費、人件費・謝金などが計画していた額より使用額が少なくなっている。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成27年度に全国の遺児支援団体の調査を実施するす予定である。
|