• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2015 年度 実施状況報告書

アドレナリン自己注射薬を持参している保育所の子どもへの対応の現状と課題

研究課題

研究課題/領域番号 26350937
研究機関桐生大学

研究代表者

阿久澤 智恵子  桐生大学, その他部局等, 講師 (70596428)

研究分担者 青柳 千春  高崎健康福祉大学, 保健医療学部, 准教授 (10710379)
金泉 志保美  群馬大学, 保健学研究科, 准教授 (60398526)
佐光 恵子  群馬大学, 保健学研究科, 教授 (80331338)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード保育所(園) / アドレナリン自己注射薬(エピペン) / 食物アレルギー児 / 子ども / 受け入れ / 対応
研究実績の概要

食物アレルギーの有病率が高い低年齢児を保育している保育所にアドレナリン自己注射薬(以下、エピペン)を持参する子どもがいる場合、保育職員の大きな混乱や困難が生じることが予測される。平成26年度末にA県全認可保育所管理者にアンケート調査を行った。返信のあった116件のデータを分析した。エピペンを持参する子どもがいる保育園は9.5%であり、エピペンを持参する子どもを「受け入れたくない」との回答が20.7%あった。「受け入れたくない」理由の最も多かったのは、「看護職がいない」であった。その他、エピペンの管理や実施に関する不安が多くを占めた。80%以上の管理者が何らかのアレルギーに関する研修を受講していたが、アナフィラキシーショック発症時の対応の自信については、エピペンに関連する項目の自信のなさが目立った。また、エピペンを打つタイミングの判断については、日本小児アレルギー学会が示している13症状を全て選択したのは、わずか9.5%であり、20.7%が「わからない」と回答した。「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」の活用については29.6%とまだ低いが、ガイドラインを知らないと答えた管理者はわずか5.2%であった。アンケート調査結果については、学会発表および学会誌掲載を果たしている。
アンケート調査送付時に、面接調査の依頼文も同封し、同意の得られた30名の保育所職員(園長・副園長・保育士・栄養士・看護職)にインタビュー調査を行った。エピペンを持参する子どもの対応やアナフィラキシーショック発症時の対応の困難感について、保育職と看護職の内容に相違がみられた。保育職員の困難感は、心理的な側面と救急処置体制の側面に関することに大きく2つに分かれた。保育所の看護職者は、全体の救急処置体制の構築を担っている負担感が挙がった。平成28年度は、面接調査結果を学会発表および論文投稿する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

平成27年度は、アンケート調査および面接調査を実施し、分析・考察し、平成28年度に学会発表・学会誌投稿を計画していた。アンケート調査結果を論文投稿し、平成28年1月に掲載を果たし、国際学会での発表も行った。また、面接調査も計画通り対象者30名の保育所職員を確保でき、面接調査を実施し、分析、考察も終了している。面接調査については、今年度7月に開催される日本小児看護学会第26回学術集会に演題登録し採択済である。保育所看護職者が認識するアナフィラキシー対応に関する困難感についても論文投稿中である。保育所職員のアナフィラキシー対応に関する困難感については、日本小児アレルギー学会誌に投稿予定、学会発表を予定し、計画通りに研究を進め成果発表を行っている。

今後の研究の推進方策

平成27年度に行ったアンケート調査で保育所において、アナフィラキシーショックのリスクの高い子どもへの対応の課題が明らかとなった。
1)エピペンを持参する子どもを積極的に受け入れるために、ガイドラインをもとに施設の特性に応じたマニュアル、子ども個々のアクションプランの作成を進めていき、それぞれの役割を職員全体で共通理解する。
2)アナフィラキシーショック発症時の症状を認識・判断し、全職員が自信を持ってエピペンを使用できるよう知識と技術を高めるためのシミュレーション訓練を実施する。
3)看護職者がキーパーソンとなり職員への研修会や学習会を牽引し、職員全員のアナフィラキシーショックへの対応の知識や技術を高めるために、保育所への看護職配置を推進する。
以上の課題を改善および解決していくために、看護職者の配置の問題について社会へ発信し、配置推進を図ること。また、アナフィラキシーショックの初期対応のための研修プログラムの構築を進めていく必要がある。
面接調査結果については、保育所職員と看護職者の認識している困難感(人的・物理的環境)の改善・軽減のため、エピペンの訓練・施設内で行うシミュレーション訓練を含めた研修プログラム作成を視野に入れながら、今年度は研究のまとめの年として、学会発表および論文投稿を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

計画した研究内容をほぼ終了し、平成28年度に未だ発表していない結果を学会発表および学会誌掲載をするため。

次年度使用額の使用計画

平成28年度は、日本小児看護学会(大分県)および日本小児アレルギー学会(群馬県)への演題登録、学会誌投稿のために使用する予定。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 保育所(園)における食物アレルギー由来のアナフィラキシーショック治療のためのアドレナリン自己注射薬を持参する子どもの受け入れ状態に関する実態調査2016

    • 著者名/発表者名
      阿久澤智恵子・青栁千春・金泉志保美・佐光恵子
    • 雑誌名

      小児保健研究

      巻: 75(1) ページ: 20-28

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 食物アレルギー起因のアナフィラキシーに対する保育職員・学校職員・保護者の対応能力の現状‐システマティック・レビュー‐2016

    • 著者名/発表者名
      阿久澤智恵子・金泉志保美・青栁千春・佐光恵子
    • 雑誌名

      小児保健研究

      巻: 75(2) ページ: 165-175

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 保育所(園)における食物アレルギーによるアナフィラキシーショックに対する救急処置体制の構築に必要な要素2016

    • 著者名/発表者名
      阿久澤智恵子・青栁千春・金泉志保美・佐光恵子
    • 雑誌名

      桐生大学紀要

      巻: 26 ページ: 1-8

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] Current status of risk management measures for anaphylactic shock from food allergies at daycare centers2016

    • 著者名/発表者名
      Chieko Akuzawa, Shiomi Kanaizumi, Chiharu Aoyagi, Keiko Skou
    • 学会等名
      19th East Asian Forum of Nursing Scholars
    • 発表場所
      千葉県幕張メッセ
    • 年月日
      2016-03-14 – 2016-03-15
    • 国際学会
  • [学会発表] 子どもの食物アレルギーによるアナフィラキシーに対する保育職員・学校職員・保護者の対応能力の現状2015

    • 著者名/発表者名
      阿久澤智恵子・金泉志保美・青栁千春・佐光恵子
    • 学会等名
      日本学校保健学会第62回学術集会
    • 発表場所
      岡山県岡山コンベンションセンター
    • 年月日
      2015-11-28 – 2015-11-29
  • [学会発表] 保育所(園)におけるアドレナリン自己注射薬を持参する子どもの受け入れに関する実態調査2015

    • 著者名/発表者名
      阿久澤智恵子・青栁千春・金泉志保美・佐光恵子
    • 学会等名
      第57回群馬県小児保健会研究集会
    • 発表場所
      群馬県前橋市
    • 年月日
      2015-09-03

URL: 

公開日: 2017-01-06  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi