研究実績の概要 |
舌喉頭偏位症 (ADEL) は、呼吸が抑制され、乳幼児では夜泣きや疳の虫など異常な泣き声の原因の一つとして考えられている。舌喉頭矯正術(CGL)により呼吸が改善され夜泣きの頻度、不快な泣き声が改善される。 昨年度に引き続き、CGLを希望し来院した乳児を対象にCGL前後の音声を採取し、音声編集ソフトを用いてノイズを除去し啼泣音声を切り出した。音声分析には、感性制御技術(Sensibility Technology:ST)により5種類の感情指標(C, A, J, S, E)とMIMOSYS(Mind Monitoring System)により元気さの指標(M)について合計6種類の特徴量の平均値で検討した。また、生活日誌を母親に記録してもらい啼泣回数と時間について検討した。 結果、指標C:t(1921)=-6.448(p<0.01)、指標J:t(1921) = 8.136(p<0.01)、指標S:t(1921)=-4.429(p<0.01)、指標E:t(1921) =7.046(p<0.01)、指標M:t(1921)=3.447(p<0.01)いずれも高度の有意差がみられた。舌喉頭の偏位によって啼泣音声が変化することを示された。ADEL 簡易診断や手術効果の確認を行うに当たり指標C, J, S, E, Mが有効であることが示唆された。生活日誌より一日の啼泣回数、夜間就寝中の啼泣回数、一日の総啼泣時間、夜間就寝中の啼泣時間、1回の平均啼泣時間にCGL後にいずれも有意な減少(p<0.05)が見られたことから、CGLにより夜泣き、啼泣が改善されることが示唆された。
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