研究課題/領域番号 |
26350948
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岩田 昇 東北大学, 医学系研究科, 大学院非常勤講師 (80203389)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 内在化問題 / 外在化問題 / 小学生 / 中学生 / ストレス / 家庭 / 学校 |
研究実績の概要 |
2017年度に引き続き,2016年度調査した公立8小学校児童541名,父回答233児童分,母回答275児童分のStrengths and Difficulties Questionnaire (SDQ)日本語版評定データを項目反応理論により解析し,特異項目機能(DIF: Differential Item Functioning)の検討を行った。その結果,1)親子間でのDIFは内在化問題(情緒不安定)で顕著に認められること,2)外在化問題(問題行動ならびに多動・不注意)でもDIFは見られたが,内在化問題に比べると軽度であること,3)父・母の評定におけるDIFはほとんど検出されず,各問題領域の状況に対する父・母の認識はほぼ一致していることなどを明らかにした(日本健康心理学会で報告)。 一方,児童の性別によるDIFの可能性を検討した結果,1)一部の項目にしか性別DIFは見られず,評定者別に見ると25項目中4項目程度で検出されたこと,2)父親も母親も女子(娘)に対して過大に問題視する傾向が見られること,3)評定者に共通に認められた特徴的DIFとして,特に男子(息子)の「いじめ」に関する項目が過大評価されていること,4)これは逆に女子では過小評価されている(見逃されている)可能性を示唆しているなどを明らかにした(日本心理学会で報告)。 さらに,2017年度追跡調査した縦断データを用いて,SDQ・自己効力感・レジリエンスの変化と学校・家庭要因との関連について統計解析を行い,学校要因より家庭における親の養育態度や家族の雰囲気の関連の方が大きいことを明らかにしてきている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2015年度計画した調査実施が2016年度に遅延したことにより,各年次計画は1年づつ順延していたところ,2018年度7月の西日本豪雨により,介入研究を予定していた地域を含めて,大きな被害があり,2018年度の計画実施は全面的に見直しせざるを得ない状況になった。
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今後の研究の推進方策 |
すでに得ている調査データに対して,1)内在化・外在化問題の測定評価に関する項目反応理論による解析を進める,2)内在化・外在化問題に関連する家庭要因・学校要因を明らかにする,3)家庭要因のうち,親の関わり方や家族の雰囲気に関する知見を基に,義務教育現場に役立つ資料として小冊子(パンフレット)を作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年7月の西日本豪雨被害により,2018年度計画の全面的な見直しを余儀なくされ,2019年度まで研究期間を延長申請した。2018年度に支出用途が減じたことにより,2019年度に繰り越し,2018年度当初計画に準じた研究・成果発表での支出を予定している。
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