研究課題/領域番号 |
26350950
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研究機関 | 青山学院女子短期大学 |
研究代表者 |
村知 稔三 青山学院女子短期大学, 子ども学科, 教授 (00190926)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 子ども史 / 近現代ロシア / 出生率 / (乳児)死亡率 / 乳幼児 |
研究実績の概要 |
アリエスの『子供の誕生』(1960年。邦訳は1980年)を契機に興隆を迎えた日本における子ども史研究から欠けているロシアの子ども史に関する基礎的研究である本研究課題は、農奴解放などの大改革により近代化をめざした1860年代以降の近現代ロシアにおける子ども、とりわけ乳幼児の生存と生活の特徴を主に量的側面から解明することを主務としている。また、近代化と子どもの関係を歴史的に考察する本課題は「工業化・都市化と子ども」「育児知識・教育と子ども」「栄養・衛生・疾病と子ども」等の問題の究明に貢献することを目指している。 4年計画の本研究課題の初年度にあたる26年度は、1.ロシアにおける人口動態と子ども・乳幼児の生存・生活に関するロシア語・英語・フランス語・日本語などの先行研究の調査を徹底した。なかでも、ロシアと歴史的に関係が深く、人口問題に早期から積極的に取り組んできたフランスにおける研究には、ソ連期の人口動態を論じたブルムの単著(1994年/2005年ロシア語訳)など、相当数があるので、その入手と閲覧に努めた。その過程で、ロシアの人口問題研究の定本となるであろう新著『ロシア人口の歴史と現在』の書評や、近世~近現代の欧米の子ども史研究を総括した『概説 子ども観の社会史』の図書紹介をまとめた。2.また、本研究課題に関する過去1世紀半の見取り図を保育の側面から提起する意味で、帝政ロシア・ロシア共和国・現代ロシアという「3つのロシア」における保育制度の変遷を概観する論稿を日本語とロシア語で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のとおり、26年度の重点は先行研究の整理・分析に置かれており、日本国内での作業は比較的に順調に進んだ。他方、ロシアの(サンクト)ペテルブルク市の図書館と公文書館での調査は、諸事情により、実施できなかった。それを補うべく、図書館の公式サイトにおける文献検索を進め、その一部については複写や電子媒体で入手できたものの、本国での調査の水準には達していない。これは27年度の課題である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の日本国内での推進は、26年度と同様に、順調なペースで進めることができるはずである。なお、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター(旧スラブ研究センター)での関連資料の収集に際して、同センターの27年度の共同研究員に選出されたことが役立つものと思われる。ロシアにおける調査は計画どおりに夏に行なうか、2~3月に実施するかは、勤務先の状況との兼ね合いで決めたい。いずれにしても、後者は計画の2年分の作業を行なう必要があるので、少し長期の滞在となるであろう。
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次年度使用額が生じた理由 |
先述のように、ロシアでの調査旅行が実施できなかったため、次年度使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
その分を27年度の調査費用に充当する予定である。
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