研究課題
小児期放射線被ばくにより誘発される放射線特異的消化管腫瘍に対するカロリー制限(CR)の開始年齢と予防効果の検証をC3B6F1 Apc Minマウスを用いて検証を行った。雄C3B6F1 Apc Minマウス180匹を放射線照射群と非照射群に分け実験を行った。照射群は、2週齢時にX線を全身照射後に、CRなし群(第1群)、4週齢からCR開始群(第2群)、10週齢からCR開始群(第3群)、20週齢からCR開始群(第4群)の4群を設定した。同様に、非照射群に関してもCRなし群(第5群)、4週齢からCR開始群(第6群)、10週齢からCR開始群(第7群)、20週齢からCR開始群(第8群)の4群を設定した。合計8群を設定し実験を開始した。第1群と第5群は、4週齢、10週齢、20週齢及び30週齢時に屠殺し、照射により誘発される消化管腫瘍の個数と腫瘍サイズの経時的変化を非照射群と比較検討を行った。第2-4群と第6-8群は、CRが放射線誘発消化管腫瘍と自然発症消化管腫瘍の両方に対して予防効果を示すか、また、CRの開始年齢と消化管腫瘍の予防効果の程度に違いはあるのかを検証すべく、30週齢時に屠殺を行い消化管腫瘍の個数と腫瘍サイズの計測を行った。照射群における消化管腫瘍の個数は、20週齢時までは経時的に増加を示したが30週齢では個数の変化は認められなかった。20週齢と30週齢では、照射により腫瘍数が非照射群に比較して有意に増加を示した。照射群における腫瘍サイズは、経時的に増加を示し30週齢ではサイズの大きい腫瘍が占める割合が20週齢に比較して高い傾向が認められた。CRは、照射群において特に消化管腫瘍のサイズの抑制が顕著に認められた。現在、詳細な検討を進めている。
2: おおむね順調に進展している
初年度(平成26年度)に本研究所実験動物施設で発生したマウス肝炎ウイルス汚染事故に伴う実験途中のマウスの全処分に伴い予定通りの計画の遂行に支障が生じたが、C3B6F1 Apc Minマウス作製用の交配マウスの購入匹数を増やすなど様々な対策を講じたことにより、計画予定であった実験群の設定、解剖、病理解析等をスムーズに遂行でき、遅れを取り戻すことが出来た。
カロリー制限による放射線誘発消化管腫瘍に対する抑制効果を詳細に検討を行う予定。分子病理学的手法による検討に加え、放射線により誘発された消化管腫瘍のsignatureの同定を行いカロリー制限が放射線誘発の腫瘍を抑制しているかの検証を行う。
初年度に本研究所実験動物施設で発生したマウス肝炎ウイルス汚染事故に伴う実験途中のマウスの全処分に伴い予定通りの計画に遅れが発生したため、次年度使用額が生じた。
カロリー制限による放射線誘発消化管腫瘍に対する抑制効果を詳細に検討を行うための、分子病理学及び分子生物学的解析用の試薬を購入予定である。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 7件、 査読あり 7件) 学会発表 (15件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
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