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2015 年度 実施状況報告書

亜鉛フィンガータンパク質の細胞内活性酸素種に対するセンサー分子としての機能解明

研究課題

研究課題/領域番号 26350962
研究機関同志社女子大学

研究代表者

根木 滋  同志社女子大学, 薬学部, 助教 (50378866)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード亜鉛フィンガー / レドックス / 酸化 / 転写因子 / 過酸化水素 / レドックスレンサー
研究実績の概要

今年度は、ヒト転写因子のDNA結合ドメインであるSp1亜鉛フィンガータンパク質とH2O2との酸化反応についてより詳細に検討を行った。これまでの検討から、酸化反応後の生成物の質量をMALDI-TOFマスにより測定すると、Sp1-F1では還元体から2マス減少するが、Sp1-F2,F3では14マス増加することが分かっている。14マス増加の理由は、以前の報告例を参考にすると、Sp1-F2,F3ではジスルフィドの他に、さらにその部分が酸化されてS-S=O酸化体が生成していると予想された。
そこで、S-S=O酸化体をTCEPで再還元してマス測定を行うと、分子量が還元体と比較して16マス増加することが分かった。この結果から、O原子がペプチドに1つ付加していることが考えられ、S-S=O酸化体の構造ではこの現象の説明がつかないことが分かった。そこで、Cys残基をAla残基に置換した変異体を作製し酸化反応を行ったところ、SH基がなくても16マス増加が認められ、他のアミノ酸が酸化を受けていることが明らかとなった。
Sp1-F2,F3の配列を見てみると配列中にMet残基があり、一般的には酸化反応を受けやすいアミノ酸残基として知られている。そこで、このMet残基をAlaに置換した変異体を作製し酸化反応を行うと、反応生成物が還元体より2マス減少したことから、Met残基がCysのSH基と同時に酸化されてS=Oが形成されていることが明らかとなった。次に、Sp1-F2,F3の各フィンガードメインの酸化体を再還元して得られるO付加体の構造をCDスペクトルにより検討を行ったところ、いずれの場合もMet残基にO原子が付加していても、CysのSH基が回復することによりZn(II)と結合し、二次構造を形成することが明らかとなった。また、金属置換体フィンガーの酸化についても検討い、金属イオンの重要性を明らかにしている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

Sp1亜鉛フィンガーを用いて過酸化水素との反応性について詳細に検討を行った。これまでの報告例を一部異なる結果が得られたために、その理由を探索するのにやや時間がかかったが、その理由を明確にすることができた。また、構造解析についてもCD,NMRの検討を開始している。よって、ほぼ当初の計画通りに研究が進んでいると判断する。

今後の研究の推進方策

概ね研究計画は順調に進行していると考えられる。最終年度は残りの細胞内でのレドックスに関する研究計画を実行することともに、現在得られているデータをブラッシュアップし、学会、論文に発表することを目標とする。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件)

  • [雑誌論文] Intrinsic cell permeability of the GAGA zinc finger protein into HeLa2015

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Neg*i, Yuka terada, Misato Suzuyama, Makoto Matsumoto, Akino Honbo, Yoko Amagase, Yumiko Mizukawa, Akiko Kiriyama, Kastumi Iga, Tetsuro Urushidani, Yukio Sugiura
    • 雑誌名

      Biochemical and Biophysical Research Communications

      巻: 464 ページ: 1034-1039

    • DOI

      10.1016/j.bbrc.2015.07.060

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Efficient cleavage of DNA oligonucleotides by a non-FokI-type zinc2015

    • 著者名/発表者名
      Shigeru Negi*, Michiko Yoshioka, Hiroko Mima, Makoto Mastumoto, Michiko Suzuki, Mao Yokoyama, Koji Kano, Yukio Sugiura,
    • 雑誌名

      Bioorganic & Medicinal Chemistry Letter

      巻: 25 ページ: 4074-4077

    • DOI

      10.1016/j.bmcl.2015.08.045.

    • 査読あり / 国際共著

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公開日: 2017-01-06  

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