研究課題
昨年度までの研究結果から、SCAPに着目し、さらなる解析を進めた。その結果、ビタミンD依存的にSCAPがポリユビキチン化されていることが確認でき、ユビキチン・プロテアソーム系によってSCAPが分解されていることが確かめられた。更に詳細な解析を進め、SCAPのユビキチン化に先立って、プロテアーゼによるSCAPのプロセシングが起きていることが明らかとなり、このプロセシングがSCAPのユビキチン化及び分解の引き金になっていると考えられた。そこでSCAPのプロセシングの意味を確かめるために、大まかなプロセシングサイトの同定を行い、その情報をもとに、ビタミンD存在下でもプロセシングを受けないビタミンD耐性のSCAP変異体を作成した。その結果、期待通り、ビタミンD耐性の変異体SCAP発現細胞においてのみ、SCAPの分解が止まり、更にはSREBPの活性の回復も見られ、SCAPのプロセシングの重要性が明らかになった。最後にビタミンDのターゲットを検討するために、ビオチン及び光反応基をもつビタミンDプローブを作成した。細胞のライセートに対してプローブ処理を行った後、UV照射することでプローブと結合タンパク質とをクロスリンクさせ、アビジンビーズを用いて精製した結果、SCAPのプローブ依存的な結合が見られた。つまり、ビタミンDがSCAPに直接作用して、プロセシングを誘発している可能性が考えられた。研究期間全体を通して得た知見から、次のようなSREBP不活性化機構を解明した。ビタミンDの作用により、SREBPの結合パートナーであるSCAPがプロテアーゼによるプロセシングを受け、SCAP-SREBP複合体が壊れる。その後SCAPはユビキチン・プロテアソーム系による分解を受け、それに伴い結合パートナーを失って不安定化したSREBPも分解する。これによりSREBPの活性化が抑えられている。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
Cell Chemical Biology
巻: 24 ページ: 207-217
http://dx.doi.org/10.1016/j.chembiol.2016.12.017
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/170127_1.html
https://research-er.jp/articles/view/54774