研究課題/領域番号 |
26350973
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
田中 淳一 琉球大学, 理学部, 教授 (20163529)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ビフェニルエーテル / メロセスキテルペン |
研究実績の概要 |
サンゴ礁生物から細胞毒性はあまり示さず、B型肝炎ウイルスHBVやC型肝炎ウイルスHCVに対して抗ウイルス活性を示す物質を探索するにあたり、まず当研究室で保存しているサンゴ礁生物由来の既知化合物ライブラリーを山梨大学の共同研究者に送付した。その結果、いくつかの化合物がHBVに対して有意な活性を示したことから少し検討した。 まず、ヒット化合物中に海綿由来のポリハロゲン化ビフェニルエーテルがあったので、その構造活性相関に関して知見を得るため、さらに類似の化合物を海綿から分離精製して提供した。結果として、細胞毒性と抗ウイルス活性の比(selective index)が10~20の化合物が見い出された。 さらにスクリーニングでヒットした海綿由来のメロセスキテルペンに注目した。まず、同じ海綿から得られた類縁体は弱い活性しか示さなかった。これらは芳香族部分にさらにもう一つの環が形成されているので、活性が異なったのであろう。次に当初の化合物を元に簡単な誘導体を作成した。セスキテルペン部分を還元したものや芳香族部分をエステル化、エーテル化した誘導体を作成して提供したところ、これらも元の化合物より低い活性を示した。さらに別の海綿から得られる芳香族部分が共通のメロセスキテルペンをテストしたところ、これらも最初の化合物より低い活性しか示さなかった。以上の結果は、芳香族部分もセスキテルペン部分のどちらも抗HBV活性に関与していることを示している。現在は、さらに関連化合物を準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず最初の段階のスクリーニングを行い、有意な活性を示す天然物そのものがいくつか見られた。さらにその誘導体を作成するとともに、関連物質を分離して供給し、テストした結果、構造活性相関についても若干の知見が得られているので。
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今後の研究の推進方策 |
さらに入手可能なサンゴ礁生物に特徴的な物質を提供し、新たなリード化合物の発見を目指す。引き続き、ヒット化合物に関連した化合物を提供して、構造活性相関に関して知見を得る。
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次年度使用額が生じた理由 |
化合物の分離・精製・誘導体の作成等の実験で予想したほど物品費ならびに測定経費がかからなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度の物品費や測定経費として活用する予定である。
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