研究実績の概要 |
C型肝炎ウイルスのNS3 helicaseに対して蛍光を利用する阻害アッセイ系では、先に沖縄産ウミシダ由来の芳香族化合物がヒットした。この結果をヒントに共同研究者とともに関連化合物の阻害活性を検討したところ、類似構造をもつ市販の天然化合物の中で、hypericin とsennidin AがそれぞれIC50 3, 0.8 microMの阻害活性を示した。 次に、当研究室で保存しているインドネシア産海洋生物のエキスライブリーをB型肝炎ウイルスHBVのプロモーター活性をみるレポーターアッセイ系に提供した。その結果、海綿 Dysidea granulosa や Dysidea sp.のエキスが有意な活性を示したことから、それらの活性成分を検討したところ、分画して得られたPBDE(polybrominated diphenylether)類(3,5-dibromo-2-(2,4-dibrmo-phenoxy)-phenolと3,4,5-tribromo-2-(2,4-dibromo-phenoxy)-phenol)が、 EC50 0.23, 0.80 microMの抗ウイルス活性を、また細胞毒性との選択性 selective index 18.2, 12.8をそれぞれ示した。 さらに、こちらで保存している既知の海洋天然化合物ライブラリーをHBVのアッセイ系に提供した。その中の一連のメロセスキテルペン類の中には、HBVに対して阻害活性を示す物質や全く活性を示さないものがみられた。そこで、作用機序研究や構造活性相関等のためにそれらの誘導体等の作成等を行っている。
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