研究課題
平成28年度は、ウミシダの一種Alloeocomatella polycladiaから得られた4つの芳香族化合物の化学構造等について詳細に検討し、それらの新規化学構造とHCV NS3 helicase阻害活性を論文として報告した。得られた物質のうち、二量体構造を有するものが高い活性を示し、さらに軸性不斉がみられた。HBVのcore promoterに対する阻害活性でヒットした海洋天然物のうち、メロセスキテルペンの1つmetachromin Aが0.8 microMで抗ウイルス活性を示した。そこで、ヒドロキノン部分などを対象に誘導体を作成して活性テストに付したが、元のmetachromin A以上の活性は見られなかった。この内容については、活性評価・メカニズムを担当している研究協力者から現在投稿されている。この他にも別の既知メロセスキテルペンがHBVに抗ウイルス活性を示したことから、その構造活性相関研究のための各種誘導体の作成を行い、一部は評価に提供している。さらに芳香族部分が異なるメロセスキテルペンが手元にあったが、それらはあまり活性を示さなかった。テルペン部分の構造、ならびに芳香族部分の構造とも抗ウイルス活性の発現に重要と察せられた。この科研費の研究期間中に、1)サンゴ礁生物を素材にエキスと化合物ライブラリーの作成、2)それらをHCV NS3 helicase、HCV replicon、HBV core promoterなどのスクリーニングに提供、3)ヒットしたエキスからアッセイと並行して抗ウイルス活性成分を単離・構造決定、4)ヒットした化合物から誘導体の作成と活性評価、5)これらの内容を学会発表と論文報告、している。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Marine Drugs
巻: 15 ページ: 117
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Chem. Pharm. Bull.
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