研究課題/領域番号 |
26350976
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
近藤 恭光 独立行政法人理化学研究所, 環境資源科学研究センター, 上級研究員 (80333342)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ケミカルアレイ / プロリンリンカー / p38MAPキナーゼ |
研究実績の概要 |
ケミカルバイオロジーにおいて、小分子化合物は生体システムを研究するための重要なツールであり、化合物ライブラリーの中から目的の蛋白質に特異的に結合する小分子化合物を、より効率的に探索するための戦略が重要である。ケミカルアレイは、目的蛋白質と小分子化合物との物理的相互作用を網羅的かつハイスループットに解析するツールとして非常に有用である。本研究では、ケミカルアレイの検出能の向上に資する技術開発を行い、蛋白質に結合する小分子化合物の中から蛋白質の着目した標的部位に特異的に結合する化合物を効率的に探索する手法を確立する。ケミカルアレイの検出能の向上のための技術開発として、プロリンリンカーの最適化およびバックグラウンドの低減により、シグナル/バックグラウンド(S/B)比の向上を行い、ケミカルアレイの検出性能を高めた。具体的には、ケミカルアレイのリンカーの根元に剛直な構造を取るプロリンロッドを長さを変えて導入し、基板表面の化合物のタンパク質へのアクセシビリティを向上させることにより、p38αMAPキナーゼとその阻害剤であるSB203584との結合シグナルを上昇させた。また、p38αMAPキナーゼで処理することによりアレイ表面への蛋白質の非特異的吸着によるバックグラウンドの上昇が観察される問題があり、これによって、シグナル/バックグラウンド(S/B)比の低下をもたらし、アレイの検出性能を低下させていた。そこで、p38αMAPキナーゼのアレイへの非特異的吸着を抑制するために、ブロッキング効果のある各種ポリマーの添加実験を行い、MPCポリマーの一種にアレイ上においてタンパク質の非特異的吸着の高い抑制能を有することを見いだし、これを用いて、S/B比の高い蛋白質の処理条件を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今年度計画していたケミカルアレイの検出能の向上のための技術開発を完了し、平成27年度に計画している高効率探索技術の開発に向けた実証研究に取り組みだしている。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度においては、今年度に確立した条件に基づき、約30,000種類の天然化合物および天然化合物誘導体を搭載したケミカルアレイを作製し、p38MAPキナーゼの着目した標的部位に特異的に結合する小分子化合物の高効率探索技術の実証研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度では当初の計画以上に技術開発を順調に遂行することができたため、平成26年度の研究費の使用を極力抑え、次年度に行う実証研究のスクリーニングのために備えたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額と翌年度分の助成金と合わせて、次年度に行う実証研究であるスクリーニングのために使用する。
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