研究課題
アストロサイトあるいはニューロンだけに光感受性タンパクの1種であるチャネルロドプシン2を発現したマウスを用い、光照射によって刺激を加えたところ、いずれの場合も強度依存的に脳血流が増大し、その閾値は同程度であった。さらに、薬理学的実験から、ニューロン刺激による血流変化には細胞へのナトリウムイオンの流入、グルタミン酸受容体が関与し、アストロサイト刺激による血流変化には細胞からのカリウムイオンの流出、細胞間ギャップジャンクションが関与していることを明らかにした。一方、ニューロンおよびグリア細胞の一過性興奮とそれに続く持続的抑制が周囲に伝播する反応である大脳皮質拡延性抑制(CSD)あるいは脳虚血時に発生する拡延性脱分極(SD)が大脳皮質の微小血流に及ぼす作用について検討した。初回CSD発生時には著しい軟膜動脈と穿通動脈収縮と拡張、毛細血管内赤血球速度の低下、頻回発生時には穿通動脈拡張と赤血球速度の増加が繰り返されたことから、CSD発生時の局所脳血流には穿通動脈の挙動が重要であり、実質内では動脈の変化に先んじて毛細血管内赤血球速度が増大することがわかった。田村変法による中大脳動脈一時閉塞に伴う脳虚血時にSDが発生しなかった場合は梗塞巣が形成されず、発生した場合には発生回数に応じて梗塞体積が増大する傾向が認められた。さらに、アストロサイトに発現するNa-K-pumpα2サブユニット遺伝子欠損マウスではCSD感受性が亢進しており、CSDからの回復が遅延することを明らかにした。
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Cephalalgia
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1177/0333102417738249
脳循環代謝
巻: 28 ページ: 249-256