本研究は,報酬に対する衝動性や自己制御が脳でどのように形成されるのかを解明することを目的にし,遅延する液体一次報酬を直接経験して,その後自由に選択する行動課題遂行中のヒト脳活動を機能的MRIで断続的に計測した.自己制御の形成は,前部前頭前野における報酬遅延時間の期待効用に関する時間特徴に関連し,衝動性はその逆の時間特性に関連していることがわかった.また液体報酬の消費中,衝動的な被験者では,前部前頭前野と腹側線条体の活動が大きく,前頭前野から腹側線条体への結合が大きいことがわかった.一方で,意思決定の際には,決定の難度が上がると前部前頭前野における認知制御機構が関係していることがわかった.
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