トルコはムスリム多数派社会でありながら世俗主義のイデオロギーで国家と国民建設が進められ、イスラム的政治社会運動が民主的プロセスに参加しつつ政治経済的発展を遂げてきた。そのためグローバルな政治経済的パワーバランスがどのように変化していくかという点で鍵を握る重要な地域大国と目されている。そのようなトルコがイスラム的アイデンティティを強調する公正と発展党政権のもと、民主化と権威主義化の間で揺れ動いている様を、短期的な政治社会変動を押さえつつも、より長期的かつ構造的な背景に位置付けながら、非西洋世界の近代政治とグローバル化の相関を解き明かそうとした。
|