この研究は代表者が15年前にエチオピア西南部の農耕民アリが暮らす地域での調査開始時と比較して、市場経済化や観光化といった諸変化に着目し、人びとが自らの身体を介して土器と相互に作用しあう過程で生じる人とモノの多層的な関係の様態(=マテリアリティ)が変成する機序の解明をめざした。その結果、職人は15年前と同様の素材をもちい、道具をほとんど使わず自らの手指を使って個別に確立した特定の手順にそって日用品としての土器を製作して生業を営んでいること、職人が個々の職人の技法的な変異を積極的に評価し土器の注文を繰り返す使用者との関係性を契機にして技術的な革新を続けていること(=創造的実践)があきらかになった。
|