研究課題/領域番号 |
26360010
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
藤川 隆男 大阪大学, 文学研究科, 教授 (70199305)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 博物館 / オーストラリア / 記憶 / 地方 / 歴史意識 / 中国人移民 / 戦争 |
研究実績の概要 |
本年度は、以下の項目に関する研究を行った。 (1)ノーザンテリトリーのブルームの歴史博物館を調査し、かつてここに存在した「ジャップ・タウン」の歴史的展示や、ダーウィンにおける軍事博物館における日本関係の歴史的展示の調査を行った。こうした地域では、日本関係の展示とりわけ第2次世界大戦の記憶が重要視されており、時にそれ以外の歴史が忘却される傾向があることが確認された。 (2)ダーウィンの中国人博物館を調査し、これまでの調査とあわせ、オーストラリアにおける中国系博物館について検討した。中国系の博物館では、記憶の選択的保存が進んでおり、差別の側面よりもオーストラリア国民としての統合が展示の主力となっていることが確認できた。また、過去の中国系移民の多様性は無視される傾向が強かった。 (3)カカドゥの先住民博物館および先住民壁画に関する調査を行ったが、写真撮影が許されなかったのは、残念である。 (4)クィーンズランドのメアリバラを中心に、戦争博物館、地方博物館などの調査を行った。また、ブリスベンとその周辺の博物館と美術館も調査した。 (5)2016年11月にシドニー工科大学のアンナ・クラーク博士を迎えて、2日間のワークショップを開催した。オーストラリアにおける歴史的記憶と歴史学の関係、博物館における展示、歴史教育の問題など、4人のコメンテイターと参加者を交えて活発な議論を行った。成果の一部は『西洋史学』で報告される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
28年度は副研究科長となり、海外での調査を十分に時間をかけて行うことができなかった。そのために、いくつかの地域でのフォロウアップ調査が実施できず、そこがボトルネックになり、研究の完成に至らなかったので、期間延長を申請し、受理された。
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今後の研究の推進方策 |
8月にオーストラリアでのフォロウアップ調査を実施し、本研究の完成を目指す。最終的には、本として出版する予定であり、そのために必要な周辺的情報や画像の収集を進め、本年度中に研究成果の出版の目処をつける。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、副研究科長に就任したこともあり、予定していた海外調査を十分な期間行うことができなかった。その結果、特定の地域を対象とするようなフォロウアップの調査が不可能であったために、使用残額が生じた。また、すべての調査を終了できなかったので、報告書等の作成にかかわる経費、人件費の支出も行わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
2017年8月に2週間程度のオーストラリアでのフォロウアップ調査を実施する。これが約60万円必要。このほかに約20万円を研究成果の出版準備のための資料購入、データ整理のアルバイト料等に充当する。
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