研究課題/領域番号 |
26360011
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
谷川 真一 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (40410568)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中国 / 文化大革命 / 抗争政治 / 紅衛兵 / 造反 / 政治運動 / 派閥抗争 / 拡散 |
研究実績の概要 |
本研究は、中国文化大革命を抗争政治論アプローチを用いて分析することを目的としている。資料としては、主に陝西省西安市で発行された紅衛兵新聞を用い、質的・量的分析の両面から文革の実態を明らかにする。 平成26年度の実績としては、まず紅衛兵新聞を新たに46部収集した。現地の代理店を通じて購入した分が35部、香港での現地調査で収集したものが11部である。現地の代理店を通じての購入に遅延が生じたため、予定していた100部に届かなかったが、不足分は平成27年度に補充したい。 また、大学院生の補助を得て、収集した紅衛兵新聞のデータ化を行った。新聞のタイトル、発行日、号数など基本情報に加え、掲載されたすべての記事のタイトルを入力しデータ化した。今後さらにデータを拡充していきたい。 なお、本年度途中で、京都大学人文科学研究所に相当数の紅衛兵新聞が未整理の状態で所蔵されていることが判明した。そのなかに、陝西省のものも含まれていることをすでに確認しており、今後これらを申請者がすでに保有している分と突き合わせ、未収集分を収集したい。 最後に、本年度の研究成果として、"The Chinese Cultural Revolution and Educational Stratification: Revolution in Education Revisited"(『神戸大学大学院国際文化学研究科紀要』第42号、2014年8月)を公表するとともに、中国現代史研究会で「文化大革命の地域差ーー派閥抗争と暴力」(2015年1月)をテーマとする口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は、本研究の基礎資料となる紅衛兵新聞の収集に遅れが生じたために、「やや遅れている」とした。当初は同新聞を100部収集する予定であったが、現地の代理店を通じての購入に遅延が生じたため、現地調査での収集分を合わせて46部に留まった。不足分は、平成27年度に追加購入し、当初の予定通りの部数を確保したい。 また、紅衛兵新聞の収集が遅延したことにともない、データの作成作業にも遅れが生じた。同新聞の収集を急ぎ、逐次データ化を進めていきたい。 専門図書やデータベース、ソフトウェアの購入、研究成果の公表などその他の面では、当初の計画通り概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、基礎資料である紅衛兵新聞の前年度不足分を含めて84部収集する予定である。同資料の調査、発注を早めに行い、年度内にすべて収集し終える計画である。なお、前述の京都大学人文科学研究所所蔵の紅衛兵新聞の調査・収集は、夏期に行うつもりである。 合わせて、引き続き大学院生の協力を得て、紅衛兵新聞データの作成を行う。データ化の作業も、新聞資料を入手し次第、逐次迅速に行いたい。 また、本年度は夏にアメリカを訪れ、スタンフォード大学などの研究者と意見交換、情報収集を行うとともに、英文著書の出版準備を行いたい。 最後に、"The Policy of Supporting the Left and the Spread of Factional Warfare in the Countryside: Shaanxi, 1967-1968"、「西安市における派閥抗争」などの論文を、査読付き研究誌に逐次投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究の基礎資料である紅衛兵新聞の購入が、現地の代理店の都合で遅延し、当初見込んでいた数より少ない46部となったため。また、資料の到着が遅れたため、データ化の作業にも遅れが生じ、研究補助の大学院生に支払う人件費も少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は、前年度に収集を予定していた紅衛兵新聞の不足分を合わせて、84部程度収集する予定である。また、それにともない同新聞のデータ化に必要な人件費の支出も当初計画より多くなる見込みである。
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