本研究は中国文化大革命を、政治社会学の新たな潮流である抗争政治論アプローチを用いて分析することを目的とした。3年間(H26~28)の研究成果は以下の通りである。①本研究の基礎資料である紅衛兵新聞を130部収集し、基礎データを構築した。これらの資料を基に、②西安の紅衛兵の派閥は、アクター間の相互行為を通じて形成された一種の政治的アイデンティティ基づいていたこと、③中央と省軍区、軍分区・県レベルの地方部隊の相互行為が、陝西省農村部における派閥組織間の武闘の拡大・長期化の原因となっていたこと、また④派閥による地方権力の独占が政府による抑圧的暴力の原因となっていたことを明らかにした。
|