研究課題/領域番号 |
26360015
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
岡 三徳 愛媛大学, 農学部, 教授 (10354028)
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研究分担者 |
垣原 登志子 愛媛大学, 教育・学生支援機構共通教育センター, 助教 (20437700)
徳岡 良則 独立行政法人農業環境技術研究所, 生物多様性研究領域, 研究員 (20442725)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 四国中山間地 / 農耕システム / 地域農産物 / 食文化 / 郷土食 / 地理情報システム / 地域有用資源探索 |
研究実績の概要 |
本研究では、四国の急峻な中山間地域を対象に、農耕システムの要素(作物・品種、土地利用や作付方式)と食の要素(郷土料理名、調理・加工手法)を地理情報システム(GIS)を用いて複層的に分析し、類型化を図ることで、各地域の活性化に資する地域有用資源の要素を探索することを目的としている。 今年度は本研究の目的に適合した四国中山間地、とくに愛媛県内(東予、中予、南予)の中山間地を訪問して、継続調査を実施するサイトを定めることから開始した。東予では今治市の旧朝倉村上朝倉地域を、中予では高原山間地に位置する久万高原町の直瀬地域を調査サイトとした。上朝倉及び直瀬地域では、地域の図書館や公民館で村史・町史など地域歴史資料や地域地図情報を収集するとともに、集落の高齢者との座談会の開催や戸別訪問をして、戦前、戦後の昭和20-30年代、40-50年代、60年-平成期に区分して、年代ごとの農耕システムと食の要素に関わる情報の収集・保存と整理を進めている。直瀬地域の農耕システム調査では、ちなみに戦前・戦後初期には集落から見て山頂部では焼畑による雑穀栽培、中腹部ではコウゾ、ミツマタ、タバコ栽培、集落付近の裾野では麦類と水稲及び自給野菜栽培であったことを記録した。食の調査では、愛媛県の伝統食を、「いよの郷土食12か月」としてパンフレットに取りまとめて、関係機関と地域に配布した。 また、上記の2地域について国土地理院が撮影・発行している戦後期から2000年代まで複数時期のデジタル空中写真を購入した後、画像補正を施し各年代の土地利用図の材料として加工整備した。これら写真画像をGISソフトウェアを用いて簡易なオーバーレイ解析を実施した結果、両地域ともに1970(昭和45)年頃を境に、水田の圃場整備率や山地資源管理に大きな変化が認められた。一方で旧来の土地利用を遺す地区も地域内の一部に確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の調査研究計画は、概ね遂行できたものと考える。I)愛媛県内の中山間地域を巡回して、本研究で継続して調査するサイトを県内の東予及び中予地域で上朝倉地域(今治市)、直瀬地域(久万高原町)に定めたこと、ii)現地サイトの住民との座談会を開催して地域情報の収集とともに、今後の継続した調査、情報収集体制が整ってきたこと、iii)県内の伝統食を地域ごとに大まかに取りまとめた「いよの郷土食12か月」をパンフレットを作成して関係機関に配布したこと、またiv)GISによる解析では、空中写真類、標高や斜面方位等のGISデータの取得、整理は概ね終了し、詳細な土地利用図の作成も順調に進められている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度末から南予地域に調査地を設けることで、関係機関の協力を得て宇和島市、西予市、大洲市及び内子町の中山間地を調査してきたが、この地域に特徴的な山頂と山腹の傾斜が緩やかな平坦部の農村集落(大洲市)を調査サイトとして定める。また、愛媛県を越えて、他県(高知、香川、徳島県)の中山間地域への拡大した調査を実施する。 継続調査サイトの歴史的全般情報、農耕システムと食に関する文献資料を通じた情報収集の推進し、現地における座談会、セミナー、聞き取り調査による農耕システムと食に関する情報収集の強化する。画像アーカイブを活用した歴史的土地利用図の詳細化、地図上での景観画像や農耕システム、食情報の可視化に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額588.005円が生じた。これは、初年目の主要課題となった継続調査サイトの特定が、県内各地の巡回調査に費やした期間が長く遅れたために、継続調査サイトに関わる空中写真画像データーや文献情報・資料の購入ができなかったためである。また県外中山間地へ遠隔地調査が実施できなかったことによる。今年度の各地での調査、備品・消耗品の設置と解析を終えた時点で、前述の額が残ったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は請求額800,000円に加えて、次年度使用額588.005円と合わせた額で調査研究を遂行する。使用内訳は、大洲市を含む継続調査サイトに対応した空中写真画像データーの購入、3D画像解析のための装置と解析ソフトの購入、県内外への調査、文献資料購入、座談会・セミナーなど情報交換会開催費及び旅費、謝金として使用する計画である。 る。
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