研究課題/領域番号 |
26360019
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研究機関 | 島根県立大学 |
研究代表者 |
江口 伸吾 島根県立大学, 総合政策学部, 教授 (20326408)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 現代中国 / ガバナンス / 大衆路線 / 新常態 |
研究実績の概要 |
平成27年度の研究活動では、①本研究に関する文献資料を収集し、海外でのヒアリング調査・資料収集を実施して研究状況を整理すると共に、②その成果を公表した。 資料収集では、『郷鎮論壇』(民政部)などの雑誌資料、並びに『人民日報』『新華日報』『北京晩報』などの新聞資料、新しく刊行された文献資料を精読すると共に、海外での聞き取りも踏まえながら、大衆路線が政治社会に与える諸影響を整理した。 これらの活動の成果として、「“新常態”下的中国外交的社会基礎-圍繞現代中国的政治社会統合-」(復旦大学国際問題研究院・島根県立大学主催「中国的内政、外交課題与国際秩序」国際学術研討会、2015年9月22日、於中国上海・復旦大学)、「現代中国における政治社会改革と対外政策へのインプリケーション―『新常態』の転換期を迎えて―」(北京大学国際関係学院・島根県立大学主催「国際秩序をめぐるグローバル・アクター中国の『学習』と『実践』―外交・内政の共振と歴史の視点から―」国際シンポジウム、2016年3月5日、於島根県立大学)などを報告発表した。 また、「北東アジアの研究最前線/現代中国の国家・社会関係の諸動向と研究課題―『群衆路線』をめぐって―」(『NEAR News』第49号、2016年3月、3~4頁)、「現代中国の国家建設と『公民社会』のガバナンス―市民社会・ボトムアップ型国家コーポラティズム・人民社会をめぐって―」(共編著、宇野重昭・江口伸吾・李暁東編『中国式発展の独自性と普遍性―「中国模式」の提起をめぐって―』国際書院、2016年3月、157~185頁)を公表し、大衆路線と現代中国の政治社会のガバナンスの諸動向を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の研究活動では、成果報告の機会が多く得られた。とくに「“新常態”下的中国外交的社会基礎-圍繞現代中国的政治社会統合-」(復旦大学国際問題研究院・島根県立大学主催「中国的内政、外交課題与国際秩序」国際学術研討会、2015年9月22日、於中国上海・復旦大学)、そして「現代中国の国家建設と『公民社会』のガバナンス―市民社会・ボトムアップ型国家コーポラティズム・人民社会をめぐって―」(共編著、宇野重昭・江口伸吾・李暁東編『中国式発展の独自性と普遍性―「中国模式」の提起をめぐって―』国際書院、2016年3月、157~185頁)では、当初の計画にはなかった中国での研究成果報告、並びに学術書における成果公表の機会を得た。したがって、この点に関する研究活動の進捗状況は、「(1)当初の計画以上に進展している」と言える。 他方、海外でのヒアリング調査では、若干の遅れが出ており、この点に関しては「(3)やや遅れている」と言える。その原因として、近年の日中関係の悪化に始まり、政治的にも敏感な状況が続き、現地調査が難しくなったことがある。 以上の研究の進捗状況を総じてみると、「(2)おおむね順調に進展している」という状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
平成26・27年度と同様、『郷鎮論壇』(民政部)、『改革内参』(国家発展和改革委員会)等の雑誌資料、並びに『人民日報』『新華日報』等の新聞資料、その他の新しく刊行される文献資料を精読し、逐次研究状況を確認する。 また、本年度は本研究プロジェクトの最終年度にあたり、引き続き、研究会・学会などでの報告を行うと共に、論文作成を通して、研究成果を公表する。とくに10月頃を目途にして、北東アジア地域研究センター研究会(島根県立大学)、総合政策学会研究会(島根県立大学)、日中社会学会、アジア政経学会などでの論議を踏まえ、補助調査を実施の上、年度末を目途に論文を公表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
上述の「現在までの進捗状況」において、研究成果の公表に関しては、当初の研究計画以上に進展している一方、海外でのヒアリング調査では若干の遅れが出ている。近年の日中関係の悪化に始まり、政治的にも敏感な状況が続き、現地調査が難しくなったことがその理由としてあり、その活動に関わる費用も当初の予定より低くなった。この問題について、本研究プロジェクトの申請時に提示した対応策として、刊行されている書籍資料・新聞資料・雑誌論文などに公開されている事例開拓を進めることによって補完することをあげており、それを実施したが、若干の残額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は本研究プロジェクトの最終年度にあたり、研究会・学会などでの報告を行うとともに、論文作成を通して、研究成果を公表することを主たる目標としている。繰越金は、引き続き、刊行されている書籍資料・新聞資料・雑誌論文などの資料収集を行うことによって、公開されている事例の開拓に努める研究活動にあてる。
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