本研究は、近年、習近平が進める大衆路線に関して、その政治過程を整理するとともに、グローバル化が進む現代中国において、大衆路線が政治的・社会的ガバナンスに如何なる影響を与えたのかを考察した。 この結果、大衆路線が中国の政治社会に与える特徴として、①徳治主義的な党員教育と政治エリートの統治能力の向上、②反腐敗運動と連動した綱紀粛正の強化とその問題性の露呈、③党員の群衆への奉仕と民生の向上、④ナショナリズムに基づく中国型の国民統合の促進、⑤「公民社会(Civil Society)」とは異なる「人民社会」への移行があげられ、党・国家主導の政治的・社会的ガバナンスの再構築が進んだことを明らかにした。
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