研究課題/領域番号 |
26360023
|
研究機関 | 桜美林大学 |
研究代表者 |
中生 勝美 桜美林大学, 人文学系, 教授 (00222159)
|
研究分担者 |
加藤 洋 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (00194861)
渡辺 修一郎 桜美林大学, 自然科学系, 教授 (20230964)
中村 衛 琉球大学, 理学部, 教授 (60295293)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 津波の痕跡 / 波浪遡上の数値計算 / 地中レーダ / 津波堆積物層 / 津波の伝承 |
研究実績の概要 |
最終年度の研究は、津波の痕跡調査をした中村衛、および津波伝承の聞き取りをした中生勝美が実地調査をおこなった。 津波の痕跡調査は、蘭嶼島の海岸に分布する石灰岩の岩塊が津波で移動したものか、それとも台風などの波浪によっても動きうるのか明らかにするため、現地で岩塊の形状および地形を計測し、それらを基に波浪遡上の数値計算を行った。その結果、これらの岩塊は50年に一度の台風波浪で容易に動きうることが判明した。つまり岩塊の存在が直ちに大津波襲来を意味するわけではない。ただしこれらの岩塊がある時期に大津波で打ち上げられた可能性は否定できない。 また台湾東海岸で過去の津波痕跡を探すため、台湾東海岸および蘭嶼島にて地中レーダ(GPR)を用いた津波堆積物層の検出をおこなった。調査は台湾国立中央大学地球科学学系の陳浩維教授のグループと実施した。成功鎮郊外の段丘での調査から、地下にあるサンゴ片を含む津波堆積物層が散乱体としてGPRプロファイルでイメージングされた。また蘭嶼島でのGPR調査では波浪か津波かは特定できなかったが、海岸沿いの中位段丘で砂丘堆積層の中に含まれる海浜起源の砂礫層を検出できた。これらの結果から、成功鎮付近での過去の大津波の襲来地域がさらに北部まで伸びる可能性があることが明らかになった。これは先行研究で提案されている海底地すべりによる大津波発生モデルと調和的な結果である。 津波の伝承調査は、蘭嶼島で、これまで聞き取りをした集落とは異なる地域で、従来とは異なる伝承の聞き取りを行った。 健康調査を分担した渡辺修一郎は、これまでのデータの分析をおこなった。環境放射線を分担した加藤洋は、台湾の研究協力者と共同して、住宅近くのコケの線量調査を行った。
|