研究課題/領域番号 |
26360026
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
中野 亜里 大東文化大学, 国際関係学部, 教授 (60188993)
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研究分担者 |
村尾 智 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 主任研究員 (10358145)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ガバナンス / ベトナム / ミャンマー / 資源開発 / ボーキサイト / 石炭火力発電所 |
研究実績の概要 |
資源開発をめぐるガバナンスの問題について、ベトナムに関する追加情報の収集と、ミャンマーにおける現地調査、それらの成果の公表を中心に研究活動を継続した。 ベトナムについては、ボーキサイト開発問題の関連情報をひき続き収集した。さらに、その過程で石炭火力発電所をめぐる環境汚染と、それに対する市民の取り組みというイシューが顕在化したため、研究協力者に現地調査を依頼し、ハイフォン石炭火力発電所の周辺住民から聞き取り調査を行なった。その結果、情報開示や説明責任について、ボーキサイト開発と共通するガバナンスの諸問題が明らかになった。また一方で、地政学的な要因や中国企業に対する市民の意識などについて、ボーキサイト開発問題と異なる点も見られた。さらに、環境汚染と取り組むベトナムのNGO活動の問題点も浮き彫りにされた。 ミャンマーについては、研究代表者が、タニンダーリ管区の石炭火力発電所建設予定地、およびティラワ特別経済区で現地調査を実施し、住民やNGOの活動の現状を把握、ベトナムとの比較を行なった。その結果、仏教の僧侶や寺院が市民の活動の拠り所となり、開発事業主体と住民を仲介する機能を果たしていること、住民が高い組織力・技術力を持ち、大学などで専門的訓練を受けた人々が、NGOスタッフとして社会に出るシステムが確立している点など、ベトナムとの相違が明らかになった。 これまでの調査研究から得られた成果を、UNEP、社会地質学会、国会図書館説明聴取会などで発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ベトナムの開発・環境ガバナンスについて、市民の関心がボーキサイト開発からやや離れ、新たに石炭火力発電所の環境問題が浮上したため、後者の問題も視野に入れて調査を進める必要がある。 ミャンマーについて、市民の活動を視察する段階まで至ったので、さらに政策決定者への聴取、有識者との情報交換を進める必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
ベトナムのボーキサイト開発に関する情報収集を継続すると同時に、石炭火力発電所問題についても経過を観察する。ミャンマーの政策決定者、有識者からの情報を収集する。 これまでの議論で、先端技術がガバナンスに及ぼす影響、およびガバナンスの科学的検証方法の可能性という論点が浮き彫りとなった。鉱物資源の開発地域は、調査のための立ち入りが困難な場合が多いため、衛星写真の解析など、科学技術に依拠した現状把握の方法を追究する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今後の現地調査において、現地の専門家に支払う謝金が当初の予定よりかかることが判明したため、次年度に繰り越した。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、ミャンマー国内の専門家に支払う謝金に充てる。
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