最終年度は、それまでの研究成果の普及を調査に協力してくれた機関にフィード・バックするため、ベトナム中部のQuang Binh大学とHue大学、タイ東北部のKhon Kaen大学でセミナーを開催し、ベトナム中部では地方政府の観光関係者および投資関係者にも参加してもらい、政策について議論した。 報告内容については、それまでフィールド調査で収集したインタビュー結果に加え、ラオスの国境における出入国のデータを活用し、今回調査対象とした国境ではタイ人とベトナム人の越境が多く、インタビューで聞いたタイ人のベトナムへの観光客に加え、近年はベトナム人のラオスやタイ東北部への観光客が増えていることを示唆する結果が示された。また、留学生の移動については、ベトナムの研究機関に所属する研究協力者が収集したベトナム中部の各大学における留学生の受け入れ傾向が示され、特にラオスからの留学生が1000人以上の規模で受け入れている大学も存在した。また、タイ東北部とベトナム中部、ラオスの地方政府間の交流も盛んに行われていることが示された。これらは、これら3ヵ国の越境道路の整備が行われていなければ、実現しなかったであろうことである。 代表者の上述の内容に加え、タイとベトナムの研究報告者にもセミナーで報告してもらった。報告内容は、 http://www.ide.go.jp/Japanese/Event/Reports/20170731.html に掲載されている。このほか、研究成果の一部は、2017年4月のアジア経済研究所とアジア開発銀行の共催セミナーでの発表「メコン地域:道路インフラの経済効果」や、アジア経済研究所のラオス政府向け政策提言セミナーでも紹介した。
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