研究課題/領域番号 |
26360050
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研究機関 | 岩手県立大学 |
研究代表者 |
三宅 禎子 岩手県立大学, その他部局等, 教授 (30305271)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | プエルトリコ / フェミニズム / アメリカ / マイノリティ / 多様性 / 植民地 / ブラック / ポストコロニアル |
研究実績の概要 |
プエルトリコ人の女性運動と米国フェミニズム、ブラック・フェミニズム、ポストコロニアル・フェミニズムに関する資料収集を行い、全体を整理した。 1898年以来現在に至るまでプエルトリコが米国領土であるという状況は変わっていない。プエルトリコ人女性たちはその政治的立場を前提として、その状況を逆手にとって能動的に状況を変革してきた。これらの運動が社会に及ぼした影響は、米国の人種、マイノリティ、文化的多様性の変容過程にも及ぶ。特に1960年代以降の公民権運動、ウーマンリブ、マイノリティ運動の高揚のなかでプエルトリコ人女性たちの運動も活発化し、貧困対策、医療差別、教育改善において大きな功績を残してきた。 しかし、米国フェミニズムの運動全体を整理しなおしてみると、1960年代以前の1940年代にもドミニカ共和国国連代表ミネルバ・ベルナルディーノが米国国連代表エレノア・ルーズベルトらとともに働き、マイノリティ女性の権利を主張し、米国国内においてもユダヤ人女性Frieda Hennockが、放送界における多様性を確保する教育放送システムを導入するなど、フェミニズムが継続して存在していたことは明らかである。 このことはつまり、多様な移民を抱える米国特有のフェミニズムの特徴でもあると言える。逆に言えば、フェミニズムがマイノリティ運動のひとつであり続けたことも意味している。 プエルトリコ人女性のフェミニズムの特徴を分析していく際には、この点について、つまり、フェミニズムがマイノリティ運動のひとつであるという点、そして、多様な移民によって構成されている米国社会特有の事象であるという点の重要性を確認しつつ分析を進めていく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
米国フェミニズム全体の整理、見直しに時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
米国フェミニズム全体の歴史的動向を押さえつつ、プエルトリコ人フェミニズムの分析を進める。特に、ブラック・フェミニズム、その他のマイノリティとの関係、相違点などを整理していく。同時に、ラティーノ・フェミニズム、ラテンアメリカ・フェミニズムとの関係も解明していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
現地調査を実施せず、主に資料収集および文献分析を実施し、米国フェミニズム全体の整理に時間を要したため。 当初、マイノリティ運動は、1960年代以降の動きと捉えていたが、細かく歴史を調査していくと、突然始まったわけではなく、マイノリティによるフェミニズム自体は継続されて存在していたことが新たに分かった。全体動向を押さえながら、プエルトリコ人フェミニズムも分析しなおす必要が出てきたため、研究計画の見直しが必要となった。
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次年度使用額の使用計画 |
上述した全体動向に関する不十分な点に留意しつつ、予定していた現地調査を実施する。同時に全体の文献資料整理も継続していく。
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